晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「読書アンケート 2023 識者が選んだ、この一年の本」 

「月刊みすず」が休刊となり、1ー2月号掲載が常だった読書アンケートが単体で売られることになった。「月刊みすず」としては1部300円(+税)が、単体で800円(同)。単純比較ではえらい値上げだが、それだけの価値はあるような気がしている。冊子…

第37回小田原尊徳マラソン

小田原尊徳マラソン大会に参加してきた。2020年にエントリーしたが、コロナで中止。参加賞だけが送られてきたむなしさがあったので、今年はほぼ同時期に開催される三浦国際マラソンの方をお休みして、こちらを走ることにした(エントリー料もこちらが安…

「本は眺めたり触ったりが楽しい」

青山南さんのエッセイ。長田弘さんの弟さんで、最後に読んだのは「60歳からの外国語修行」だったか。米国では会話にも書物にもスペイン語が頻出するので、メキシコに「留学」して学んだという体験記だった。こちらはタイトルから想像できるとおり、本に関…

「言の葉さやげ」

茨木のり子さんの「言の葉さやげ」を読んだ。茨木さんの本は割と手元にあるが、この本は言葉に関する文をまとめたもの。巻末の初出一覧を見ると、所蔵の本と被るエッセイがあったけど、そもそもこの「言の葉さやげ」として本にまとめられたものだから、こち…

「「自分の木」の下で」

ふと読んでしまったのである。読み残しや積読の小説がたくさんあるのに、立ち読みしてつい買ってしまった。大江健三郎さんが子ども向けに書いたエッセイである。「なぜ子供は学校に行かねばならないのか」「子供の戦い方」など、たぶん質問を受けたわけじゃ…

「世界はラテン語でできている」

個人的に、ラテン語=教養。英語のみならず様々な言語の「素」となっているが、日本人の場合は英語を通じてラテン語に源を持つ言葉に触れるという形が一番多いのでは。その意味では、英語学習者が読んでもためになる一冊である。どちらかというと、そのよう…

「この世にたやすい仕事はない」

奥付をみると文庫の初版が出たのが2018年12月だが、なぜか新刊文庫のように平積みされている。「サキの忘れ物」を読んでいるので、こちらが先に刊行されているのはわかっていたが、どうやらまた脚光を浴びているらしい。ドラマ化でもするのか。それは…

また浸かりたい横浜の銭湯④

複数の友人から好意的な噂を聞いて、一度行きたいと思っていた亀遊館。家からはやや距離がある金沢八景が最寄り駅。その昔、鎌倉へのトレイルの帰りに寄ってみたが、営業日だったはずなのに休館日だった(臨時休業)。昨年、「ランナー禁止令」が発令されて…

「名前で呼ばれたこともなかったから」

先日読んだ「空が青いから白をえらんだのです」の続編。奈良少年刑務所の受刑者が所内の教育プログラムで紡いだ詩を紹介している。収容者は16歳以上26歳未満の者で、少年院に比べるとずっと重い罪で服役している。殺人、強盗、レイプ、薬物、放火といっ…

「空が青いから白をえらんだのです」

別な本を買いに行ったのに、書店を出るときにはこの本を持っていた。リアル書店の良いところだ。 キャスリーン・フリン「「ダメ女」たちの人生を変えた奇跡の料理教室」を読んでみようと新潮文庫の棚をさぐると、同じく新刊で、寮美千子編「名前で呼ばれたこ…

「終わりの感覚」

数十年ぶりに友人に会うと、こちらがそれまで忘れていたことを相手がしっかりと覚えていることがある。それどころか、その相手はこちらが忘れていたことを軸に自分という人間との関係性を記憶している場合があり、(表情には出さないものの)とまどうことが…

「光の闇」

自分の中で佐伯一麦さんの存在が大きくなってきた。何か読みたいと思って探したのがこの本。文庫化された本があまり書店になく(講談社文芸文庫は高い!)、Kindleで探した。購入したときは399円だったが、今現在は1319円になっている。ここらへんの値段設定…

「不機嫌な英語たち」

学習書の一種と思ったら、小説だった。著者は、ハワイ大教授の吉原真理さん。半自伝的私小説となっている。「ふぞろいな林檎たち」のもじりのようなタイトルだが、「英語」「言語」に関わる小説だ。ある程度は「真実」と考えられるので、自分をさらけ出した…

「酒場學校の日々 フムフム・グビグビ・たまに文學」

草野心平さんが表紙で笑っている。昨年、草野心平生家や記念文学館を訪ねた自分にとっては気になる本であった。そして舞台が新宿ゴールデン街とくれば、読まないわけにはいかない。今でこそ縁遠くなったが、よく通ったところである。 金井真紀さんはテレビ番…

「不完全な司書」

奈良県東吉野村で私設図書館「人文系私立図書館 Lucha Libro」を営んでいる青木海青子さんのエッセイ。奈良や和歌山に行ったことはないが、自分の故郷の東北と一緒で田舎であるけれども、イメージとしてはもっと緑が深く、神秘的な場所のような気がしている…

「アボカドの種」

短歌は、「詠む」わけではなく「読む」だけ。特に詳しいわけでもないが、俵万智さんの歌集はずっと買っていると思う。と思って調べてみたら、「かぜのてのひら」(第二歌集)は未読だった。気にしてしまうと気になるのだが、お題は、今回読んだ第七歌集の「…

「ショパンに飽きたら、ミステリー」

昨年、「六本指のゴルトベルク」を読んで、探した本。割と簡単に見つかった。「六本指」同様、音楽とミステリーを絡めたエッセイがメイン。というか、こちらが10年以上も先なので、とりあげる本は古くなるが、自身についてのことなどにも触れられている。…

「よこはま野毛太郎 酔郷ではしご酒」

横浜の人には説明不要だろう。野毛とは横浜の酒場街の一つで、昔からオヤジどもや酒飲みの「聖地」として扱われている場所。近年若者が増えてきて、「横浜西口」化が少し寂しい気もするし、逆に後継者が出てきたようなうれしさも感じている。この本は、オヤ…

「一日江戸人」

仙台に寄った際に、地元の老舗書店で購入したのがこの本。江戸の風俗や当時の流行を、杉浦日向子さんのイラストとともに紹介している。文庫本なのでイラストの部分の字が小さくて読むのに苦労したが、それはこちらの問題。単純に面白かった。落語を聞く際に…

「人生処方詩集」

あけましておめでとうございます。 2024年の読書は、ケストナー「人生処方詩集」でスタートした。何か意味があるわけではなく、年末に読んでいて越年してしまっただけなのだ。ランニングと朝食を終えた後に、残り部分を一気に読了。ケストナーと言えば、…

「空にみずうみ」

静かな小説だった。日々の雑記と言ってもだろう。東日本大震災から4年経った、ある夫婦の一年。東北のある地方の歳時記のようでもある。鳥の声や紛れ込んでくる昆虫、植物、畳替えなどの一年を綴っている。見逃しているかもしれないが「震災」という言葉も…

「古本食堂」

食べもの系に弱い自分にとって、原田ひ香さんは気になる存在だった。とはいえ、著書が多くどこから手をつけて良いか分からない。古本と抱き合わせなら面白いに違いないと、本書を手に取った。タイトルから、食堂併設の古本屋の話だと思ったのだが……。 古本食…

「「国境なき医師団」を見に行く」

「国境なき医師団」。1971年にフランスで発足した、医療援助団体。「国境なき~」(without borders)という惹句は何かと使い回されたりするが、やはり「医師団」がカチッとはまる。正式名称は当然フランス語で、Medecins Sans Frontieres で MFSと略され…

「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」

今年はミュージシャンの訃報が相次いだ。自分も歳を取ってきているので、若い時に親しんだ音楽家たちが、それ相応の年齢になってきているのはわかるが、「早い」「早すぎる」と感じさせる人が多かった。若いときに無茶していたのだろうか。 個人的には、坂本…

巣鴨湯

週に一、二度は銭湯に行く。家の風呂では味わえないような開放感といつまでも適温で保たれている湯が魅力なのだが、減少していく銭湯を応援したいと気持ちもどこかにある。巣鴨で酒席があり、時間的な余裕があったので、飲む前にひとっ風呂と、タオルもなし…

「橙書店にて」

週末には長い距離を走るぞと意気込みながら、当の週末にそんな気持ちが萎えている。いつものように早起きはしているのだが、WOWOWで映画を見てしまってもういい時間だ。ちょっと前に買った本でも読もうかと、読み出したら面白かった。 熊本の喫茶兼雑貨店と…

「翼 李箱作品集」

光文社古典新訳文庫から李箱(イ・サン)の作品集が刊行された。同文庫から韓国文学で出るのは初めて。近年、フェミニズムものを中心に韓国文学が多くの出版社から刊行されているが、やっと「大物が文庫になった」という感じだ。 韓国では、彼の名を冠した文…

「英語は10000時間でモノになる」

ランニング同様、英語も本を読んでギアを入れることがある。この「英語は10000時間でモノになる」は、ベンチャー企業の創業者から事業家・教育者に転身した橋本大也さんが自らの英語学習実践法を綴ったもの。普段目にする英語教育に携わる大学や予備校の先生…

「三春タイムズ」

小田原の「南十字」で購入した本。里心ってほどではないが、東日本大震災以降、福島県の浜通り中心だった関心が県全体、東北全般に広がった気がする。名前は知っているけどよく知らない町についての本。何かの縁だと思った。 磐越東線で郡山から二駅目にある…

「シャガールの馬」

虫明亜呂無さんの小説を読んだ。エッセイや評論を読んではいたのだが、小説も書いていて、1979年には直木賞候補にもなっている。「シャガールの馬」というこの短編集が対象だった。小説だけをかいているわけじゃないのか、1971年から78年までと比…