晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「焼野まで」

大辞林によると「焼野(やけの)」には二通りの意味がある。①早春、野焼きをしたあとの野原。②大規模な火災などのため、焼け果てて荒れている所。やけのがはら。 この小説は、東日本大震災の直後に子宮体がんが見つかった村田喜代子さん自身の体験がもとにな…

「装丁物語」

懐事情で読むのは文庫か新書がメインになって、やや寂しいと思うのが装丁のインパクトが薄れること。店頭の主役がLPレコードからCDが変わった時にもそのような気持ちになった人が多いだろう。どうしてもジャケットのインパクトが弱くなる。ストリーミングな…

「ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた」

個人的に刺さるタイトルだ。ウルトラQからウルトラマンタロウまで、お付き合いした世代だが、就学前に出会ったウルトラマンとウルトラセブンの印象が強い。ウルトラマンであるハヤタ、セブンのダンを演じた、黒部進と森次浩司(現・晃嗣)に対しては、その後…

月刊みすず 読書アンケート特集 2020年

「月刊みすず」恒例の読書アンケート特集。毎年2月の初旬には手元に届き、すぐに読むのだが、今年はタイミングを外してしまいそのまま1カ月経ってしまった。各分野の識者へ、昨年読んだ(刊行されたのではなく)本を5点あげるのがお題となっているが、今…

「しらふで生きる」

町田康氏が酒をやめていたとは知らなかったが、こうして本になっているのだから、やめているのだろう。副題には「大酒飲みの決断」とある。酒がらみのエッセイは気になるが、やめるとなると興味が薄れる。ただ、依存症から脱したという話なら関心はある。こ…

映画「FRIDAY」

横浜市中区長者町にあるライブハウス「FRIDAY」。40年続いている。音楽好きや地元で飲む連中には知られたハコなはずだが、伊勢佐木町や福富町界隈に縁のない人や県外の人にはわからないのも無理はない。クレージーケンバンド(メンバーを絞って)が定例ライ…

「福島で酒をつくりたい」

浪江に住んだことがありながら、請戸で酒をつくっていたことを知ったのは東日本大震災の後だった。請戸から避難して山形を拠点に酒を造り続けている酒造店があるとの報道を耳にしたためだ。高校時代に飲酒は習慣化しつつあったが(ただしサイクルは月に1、…

「ブラームス カラー版 作曲家の生涯」

勝手ながら、ブラームス・ブームである。中古だと安価で手に入るという点も後押ししている。買いあさるってほどでもないが、ここのところ、週末に1、2枚と買っては家族が起きる前に聴いている。そのせいでランニングに入る時間が遅れている。 前に読んだ、…

「八本脚の蝶」続き

二階堂奥歯さんの日記にたびたび登場するのが、雪雪さんという方。奥歯さんより本を読んでいる人らしい。想像を絶する。現在は福島県郡山市の書店でお勤めのようだ。二人の出会いというか、ファーストコンタクトがすごい。雪雪さんが以前勤めていた書店で、…

「八本脚の蝶」

二階堂奥歯「八本脚の蝶」がとうとう文庫化された。近くの書店に平積みされていたのは、山崎ナオコーラ「かわいい夫」。なぜこんなに置かれているのか、ドラマ化でもされるのかと手に取って帯を読んだら、「八本脚の蝶」も同時に刊行されているではないか。…

「サブ2.5医師が教えるマラソン 自己ベスト最速達成メソッド」

走り始めて何年か経っているものの、初心者レベルの自分にとっては役に立つ部分がいくつかあった。サブ2.5のランナーというのはあまりに遠い存在で、自分からすればレースでは背中すら一度もみないままゴールしてしまうようなランナーであろう。著者の諏訪通…

「デトロイト美術館の奇跡」

デトロイト。主要産業は自動車で「自動車の街」と言われていた米国中西部の都市だ。数年前に、アフリカ系アメリカン人の暴動を描いた「デトロイト」という映画を見た。白人警官が高圧的というかほぼ脅迫ともいえる尋問をするシーンが頭に焼き付いて、後味が…

「サド侯爵夫人・わが友ヒットラー」

「焼け」がひどい文庫本を読んでしまおうと、三島由紀夫「サド侯爵夫人・わが友ヒットラー」を読み始めた。売っても値がつかないだろうが、他の本に混ぜて古本屋に出すつもりだ。三島の戯曲。読んでみると、えらく面白かった。特に「サド」の方は夢中になっ…

「さよならテレビ」

久々のジャック・アンド・ベティで「さよならテレビ」を見た。会員更新時にもらった無料鑑賞の券をそのまま使った。「さよならテレビ」は、「死刑弁護人」「ヤクザと憲法」で知られる東海テレビの制作。先にテレビで放映されたものは、テレビ関係者の間でD…

「走る奴なんて馬鹿だと思ってた」

購読中のブログで知った本。自分もマラソンに向かうまではこの題に近い気持ちを持っていた。サッカーをやってボールを追っていただけに、「ただ走っていて何が楽しいのか」って思っていたし、40代の前半まではそのように公言していた(いまとなっては、言わ…

「不穏な眠り」

若竹七海の新刊が出た。古本屋アルバイト兼探偵・葉村晶シリーズで文春文庫では6冊目となる「不穏な眠り」だ。「オール読物」に掲載された4編が収録。単行本を経由せずにそのまま文庫になるのがうれしい。初版限定付録(というほどでもないが)によると、2…

「No One Is Too Small to Make a Difference」

米タイム誌でも「Person of the Year」に選ばれた、スウェーデンの学生であり環境活動家のグレタ・トゥンベリ(トゥーンベリの表記も)さんのご主張を知っておこうと思っていたところ、紀伊國屋書店で500円で売っていたので購入した。60ページ超であることを…

「黙殺」

副題には「報じられない"無頼系独立候補"たちの戦い」とある。この「無頼系独立候補」とは、世間でいう泡沫候補のこと。著者の畠山理仁氏は、新聞紙面やテレビの報道であまり扱われないこの候補者たちを、一種の愛とリスペクトをこめてこのように呼んでいる…

「川の名前」

小学5年生たちのひと夏の経験を描いた小説。と書くと、エッチな話を想像するかもしれないが、夏休みの自由研究の課題として近所の川を選んだ少年たちが自然と、偶然出会うことになる生物との関わりをテーマとした作品だ。読後感がすこぶる良い。 さて、書い…

「ブラームス」

クラシックには明るくないのだが、ブラームスは結構好きだ。とはいえ、詳しいわけではない。このドイツの作曲家が好みになったのはある映画がきっかけになった。パトリス・ルコント監督の「仕立て屋の恋」。この作品のおかげで「ピアノ四重奏曲第1番」だけは…

当面はLSDで

湘南国際マラソンが終わって、練習をほぼ100%LSD(ロング、スロー、ディスタンス)に切り替えた。なんとなく目標を失っていたためだが、続けていくと妙に楽しい。湘南国際後に申し込もうと思っていたハーフマラソンが親戚の結婚式と重なり、泣く泣く断念。…

「未来国家ブータン」

ブータンの人と話す機会があった。ブータンといえば、民族衣装のゴ、幸福度が高い、国王といった印象しかなかったが、話してみると、結構オープンマインドな人たちなのだなあと月並みな印象を持った。会った人がたまたまそうだったと言われればそれまでだが…

たらば書店再訪 「たらば通信17号」

鎌倉市内ながらずっと大船止まりで、北鎌倉や鎌倉まで足を延ばす機会がなかった。飲むとなると、価格や店舗の数でどうしても大船に分がある。ここ数年の大船には勢いすら感じる。 しかしながら、その間に気になっていたのが、鎌倉駅近くのたらば書店である。…

湘南国際マラソン2019

今年も参加した湘南国際マラソン。昨年は10キロだったが、今回はまたフルマラソンに参加することにした。湘南は通算4度目でフルは3回目。全体では5回目のフル。また長い距離を歩いてしまって、反省の弁が基本であることは間違いないが、今回はややポジテ…

「韓国 行き過ぎた資本主義」

この本のテーマとはズレるが、その昔、韓国からの留学生と接して思ったのは、韓国という国はサブカルチャーが育ちづらい土壌だなということだった。みんながみんな、同じゴールを目指して、ひたすら山を登っている印象だ。この金敬哲「韓国 行き過ぎた資本主…

「ローマ法王」

フランシスコ法王が23日に来日する。ローマ法王の来日は2代前ののヨハネ=パウロ2世以来だという。今の法王は清貧で飾り気のない人物として、人気が高いという。キリスト教関連の本を読んだ後でもあるし、この本も法王来日に合わせて出版されたものであろ…

「ぼくには数字が風景に見える」

軽々しいが、この本を読むと、アスペルガー症候群はともかくサヴァン症候群にはなってみたい気がしてくる。辛かった時期のことも書かれていて、この「僕には数字が風景に見える」に割かれているページ数よりも長く感じたことだろうとも思うが、それを乗り越…

「宣教のヨーロッパ」

歴史で習う、フランシスコ・ザビエル。日本にキリスト教を布教した人だが、この人はイエズス会の人である。キリスト教が、カトリックとプロテスタントという大きな区切り以外にも、様々な宗派というか会派というかが存在しているのは、キリスト教に縁のない…

「横浜1963」

1964年に開催された東京五輪前年の横浜を舞台にしたミステリーが、2020年東京五輪・パラリンピックを翌年に控えた今年に文庫化された。今月だったか先月だったか、同じ出版社の文藝春秋から蜂須賀敬明「横浜大戦争」が文庫化されている。家には柞刈湯葉「横…

「さよなら妖精」

米澤穂信「王とサーカス」「真実の10メートル手前」を読んで、主人公・太刀洗万智という存在を知った。手に取るのはほぼ一年後になったが、このキャラクターが初登場する「さよなら妖精」を読むのは、自分にとってほぼ必然だった。端的に言えば、書いた米澤…