晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

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「やまゆり園事件」

ランキング参加中読書 読んでいて気が重くなる本だった。テーマは、2016年に施設「津久井やまゆり園」を植松聖という元職員が襲い、19人が亡くなり、26人が重軽傷を負った事件である。戦後最悪の事件と称される。気が重くなったのは、犯罪のすさまじ…

「井上陽水英訳詩集」

ランキング参加中読書 読みたいなと思っていた本が中古で手に入った。ロバート キャンベル(本の表記に従い、「・」(なかぐろ)は省く)さんの「井上陽水英訳詩集」。2019年刊行。出た時から気になっていたが、手に取ることなく時間が経ってしまった。…

「田舎医者/断食芸人/流刑地で」

ランキング参加中読書 光文社古典新訳文庫からカフカを読んだ。今回は3作目で「田舎医者/断食芸人/流刑地で」。タイトルになった3作の他、「インディアンになりたい」「突然の散歩」「ボイラーマン」「夢」「歌姫ヨゼフィーネ、またはハツカネズミ族」の…

「はじめてのクラシック音楽」

ランキング参加中読書 歳をとるにつれて、クラシック音楽を聴く割合が増えてきた。グラミー賞授賞式や音楽チャートを見て、興味をそそられてCDを購入するということはほぼなくなった。最近では、T字路sくらいか。枯れてきたとは思いたくないが、T字路sに…

「英詩のわかり方」

ランキング参加中読書 ちょっと背伸びして英詩を読んでみた。自分が普段目にする英語とはまるで違う単語が出てきて、詩自体は短いのに散文以上に辞書をひく回数が多い。Roger McGough というユーモラスな詩人の本だったのだが、そのシャレとなっている部分が…

「私が選ぶ国書刊行会の3冊」

ランキング参加中読書 紀伊国屋書店の横浜店(そごう7階)に行ったら、国書刊行会の50周年フェアをやっていた。扱っている書籍にクラシックな匂いがするものが多いので、もっと歴史のある出版社かと思っていた。僕より若いのだな。 無料の小冊子。読書ア…

「ポピーのためにできること」

ランキング参加中読書 700ページの本を読んだ。「ポピーのためにできること」(原題:The Appeal)に夢中にさせられた。面白い本というのはリモート勤務の大敵である。会社には申し訳ないが半分過ぎあたりからはほぼ一気に読ませてもらった(もちろん、埋…

月刊みすず 読書アンケート特集 2023年

ランキング参加中読書 楽しみにしている「月刊みすず」の読書アンケート。1/2月の合併号掲載が常なので、この時期になる。今回は少し感慨深く読んだ。なぜって「月刊みすず」が今年の8月号で休刊するからである。これが最後かと思ったが、巻末にはなんら…

「犬婿入り」

ランキング参加中読書 多和田葉子「犬婿入り」を再読した。いまやノーベル文学賞発表の時期には、候補として毎年名前があがる(日本のメディアのみかもしれないが)小説家の芥川賞受賞作だ。受賞は1992年の下半期(発表は翌年1月)。80年代後半に社会…

「絵のある自伝」

ランキング参加中読書 ふらっと行っても買いたくなる本があったり、狙った本がきちんと置いてあったりというのが、いい書店の定義かもしれないが、狙った本があったのに別の本を買ってしまわせる本屋も「いい書店」の類に入るのではないか。その意味で、横浜…

「歩くひと 完全版」

ランキング参加中読書 タイトルを見た途端に読みたくなった。そもそも谷口ジローさんの絵は好きだ。そんなによく知っているわけではないが、「孤独のグルメ」にははまっているし(ドラマも含めて)、「坊っちゃんの時代」も繰り返し読んだ。 何がそんなにい…

「今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義」

ランキング参加中読書 講談社現代新書が昨年の夏過ぎあたりから、内容を100ページくらいして、やや安価にした「講談社現代新書100」というシリーズを始めた。思想ものを一気読みさせるというコンセプトのようだ。紙の本だと税込み880円でやや水増し…

「一日一言 人類の知恵」

ランキング参加中読書 古書店で200円で購入した本。すべてではないが、著名人(偉人というべきか)の生没日にあわせて、ごく簡単な略伝と肖像、そして著作物がある人はその一部分を記している(キュリー夫人については、子どもが書いた伝記から抜粋してい…

「緋文字」

ランキング参加中読書 一生読むことのない作品だと思っていたが、ひょんなことで手にとった。読んでみると結構面白い。とある英語学習紙に、ナサニエル・ホーソーンの「緋文字」が、米国の高校の授業で扱う定番の小説だと書いてあった。なるほど、漱石、鷗外…

「言葉の海へ」

ランキング参加中読書 子どもが辞書を引く姿を見た事がない。なんでもスマホが解決してくれるらしい。小学校のときは喜んで調べた言葉に付箋をつけていたのに。ものを書くときに辞書がないと落ち着かないって、昭和以前の生まれの特徴なのだろうか。 赤瀬川…

「現場で役立つ 鉄道ビジネス英語」

ランキング参加中読書 見るからにニッチな本である。初めて見たのは、JR桜木町駅構内の書店。レジの横にこの本がたててあった。「現場で役立つ 鉄道ビジネス英語」。誰が読むんだこんな本。誰が学ぶんだ「鉄道ビジネス英語」。撮り鉄、飲み鉄などの鉄道フ…

「更に、古くて素敵なクラシック・レコードたち」

ランキング参加中読書 年末だったろうか、書店をのぞいたら、村上春樹「古くて素敵なクラシック・レコートたち」が平積みされていた。1年半前ごろにでた本のはずなのに、どうしたクラシックネタの本でも並べているのかと思っていたら、続編が出ていた。 自…

本屋 象の旅

ランキング参加中読書 最初はシネマ・ジャック&ベティから送られてきたチラシで見たのだろうか。新聞の記事を読んだときには存在自体は知っていたので、SNSで知ったかもしれない。とにかく横浜に新刊書店がオープンしたという報に接した。昨年11月だそ…

「「不思議の国のアリス」を英語で読む」

アスク出版が出した「ヘミングウェイで学ぶ英文法」が火付け役だったと想像するが、近年、英語の原書をテキストにして英文法を学ぶ学習書が多い。アスク出版は、その後、オー・ヘンリー、シートン、ホームズ(作家はコナン・ドイル)などと続けているし、文…

「ライオンのおやつ」

小川糸さんが書く本には、愚かな人や弱い人は出てくるが悪い人は出てこない(態度の悪い人は出てくる)。これまでもそう思っていたが、「ライオンのおやつ」を読んでその思いを強くした。30代ながら余命宣告を受けた海野雫が「終のすみか」と決めたのは瀬…

「韓国文学の中心にあるもの」

斎藤真理子「韓国文学の中心にあるもの」を読んで、戦争の「副作用」というものを強く意識させられた。1950年に勃発した朝鮮戦争は53年以降は休戦状態のままで戦争は終わっていない。BTSの徴兵問題だって、北朝鮮がやたらとミサイル実験をするのだ…

「モトムラタツヒコの読書の絵日記」

申し訳ないが、モトムラタツヒコさんというイラストレーターは知らなかった。福岡在住の方らしい。と書いているところで、NHKの朝の番組でこの本が紹介されていた。こんな偶然ってある(一人で喜んでいる)? オープンしたての書店に行ったら(この書店に…

「歴史とは靴である」

先に、題が意味するところから。本書は、歴史家・磯田道史さんが鎌倉女学院の高校生を相手に行った講義が元になっている。そこで、磯田さんが「歴史はむしろ実用品であって、靴に近い」と話したところからこのタイトルになっている。 歴史とは靴である (講談…

「もう終わりにしよう。」

ほぼ一気に読まされたところだ。この「もう終わりにしよう。」は刊行のタイミングで購入しているのだが、2年ほど積読してしまった。本棚の整理をしているときに見つけて、出だしをパラパラ読んでたら、手から離れなくなった。 イアン・リードというカナダ人…

「ルポ 誰が国語力を殺すのか」

気になっていた本だ。自分と自分の子どもを見ても、あきらかに文章の読解力や感じる力が差があると感じることが何回かあった。時代という側面もあるし、そもそも読書量が違うというあるだろう。今の子どもは本以外に目にするものや時間をとられるものが多す…

「レット・イット・ビー」

古書店で見つけてさっそく読んだ。タイトルからビートルズ関連と思いきや、著者は若桑みどりさん。「クワトロ・ラガッツィ」は積読のままだったなあ、と思いつつ、いずれは「マニエリズム芸術論」あたりにも手を出しておきたいので、エッセイで人となりを知…

「大きな 大きな 大きな 足あと」

絵本を読んだ。ひらがなやカタカナが多用されてところを見ると、子ども向けなのだろうが、大人にも十分耐えうる内容になっている。というか、先に読むべきなのは、もしくは、行動に移すべきなのは大人なのだろう。そんな絵本だ。 副題は「もし全人類がひとり…

「猫を棄てる」

村上春樹さんが書いた父親についてのエッセイ。文庫化の際に購入。父親の差が、自分と村上さんの差とまで言うつもりはないが、家庭環境にも小説家・村上春樹が誕生する要因が多分にあったのだなと感じた。そして、彼の戦争観というのは、父の人生の影響が強…

「読書会の教室」

向井和美著「読書会という幸福」を読んで、読書会の存在が大きくなってきた。まずは自分が参加することからとは思っているのだが、どうも敷居が高い。というか、そう思い込んでいる。たまたまカウンターの横で飲んでいた人が読書会に参加していて、「一度、…

「英語のアポリア」

またまたエッセイを読んだ。1980年代前半に来日したトム・ガリーさんは、東大大学院の教授。そもそもは言葉オタクで、英会話教師や翻訳、辞書編纂者などをやっていた。副題に「ネイティブが直面した言葉の難問」とある。「アポリア」とは、「解決できな…