晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「統一教会」

キリスト教には関心はあるが、この本は宗教方面ではなく、社会問題の関心から手に取った。著者の櫻井義秀さんは、宗教社会学が専攻で、長くこの団体を研究してきたようだ。副題に「性・カネ・恨(ハン)から実像に迫る」とある。 自分たちの世代だと、原理研…

「音楽と生命」

3月28日に亡くなった坂本龍一さんと、「動的平衡」シリーズで知られる生物学者・福岡伸一さんの対談をまとめた本。そもそもはNHK Eテレの番組で放送された対談を加筆・編集して一冊の本になった。刊行日が亡くなった翌日の29日になっているのが、なんと…

「チャリング・クロス街84番地」

ロンドンの古書店に勤める男性と、愛書家のニューヨーク在住の女性作家の手紙による交流をメインに据えられている。1949年からおよそ20年にわたるやりとり。著者はヘレーン・ハンフで、実名で登場。副題には「書物を愛する人のための本」とある。現在…

「村田喜代子の本よみ講座」

このところ村田喜代子さんが気になる存在である。昔から存在自体は知っていたのだが、文庫化される本が増えてきたせいなのか、ちょっと身近になった気がしている。こちらが歳をとることによって、接近してきたような感覚かもしれない。九州を拠点とする作家…

「『深い河』創作日記」

「深い河」(ディープ・リバー)を読んで、もうちょっと考えを整理したいと思い、続けて読んだ。前半がそれこそ創作過程の日記。後半というか巻末が、「宗教の根本にあるもの」という対談をまとめた文章になっている。これが「深い河」で遠藤周作さんが訴え…

「深い河」

「ディープ・リバー」と読む。遠藤周作さんの後期の代表作と言っても差し支えないだろう。彼なりの、神についての一つの結論が書かれているという。若松英輔「日本人にとってキリスト教とは何か 遠藤周作『深い河』から考える」が読みたかったのだが、書店で…

「覚和歌子詩集」

まったくノーマークの本だった。駅併設の書店で見かけて、立ち読み。即購入。ジブリファンや曲を聴いたことがある方にはおなじみなのかもしれないが、自分はまったく知らなかった。「千と千尋の神隠し」は見ていないが(断片的には見ている)「崖の上のポニ…

「英語達人列伝Ⅱ」

日本における英語教育は迷走していると言っていいかと思う。英語ができる人は増えているはずだ。NHKでおなじみの杉田敏さんも、昔と比べてできる人は相当増えたと感じるとおっしゃっていた気がする。コロナ禍や円安の話は別にして、海外旅行は当たり前に…

「ダライ・ラマ六世恋愛詩集」

チベット仏教に強い興味があるわけではない。どんな詩なのだろうという疑問が先だった。じゃ、安いし薄い本だし、ちょっと読んでみようかと。ノーベル平和賞を受賞している、みんながよく知っているダライ・ラマが十四世。この詩人のダライ・ラマは六世で、…

「「普通」ってなんなのかな」

再び、自閉症について考えるために手に取った。障がいを抱えながらもオックスフォード大学院に進学したジョリー・フレミングさんの著書という形になっているが、リリック・ウィニックという人が聞き手となり、彼から聞き書きした部分が多い。 この本の特徴は…

「将棋指しの腹のうち」

先崎学九段。文筆業でも活躍している将棋棋士である。プロ棋士のエピソードや人柄などは彼の筆を通して知ることが多い。将棋界とファンの橋渡し役とも言える。先日の王将戦で藤井聡太王将に挑んで敗れた羽生善治九段について朝日新聞(読んだのはデジタル版…

「自閉スペクトラム症」

4月2日は「世界自閉症啓発デー」だそうである。この日から1週間は「発達障害啓発週間」だ。正直、自分に子どもができるまではそんなに関心がなかった。この本によると、自閉スペクトラム症と診断される人は、1970年代は1万人に1人だったのが、いま…

かなぶん寄席 講談「お富の貞操/小田小右衛門」

神奈川近代文学館に行って講談を聞いてきた。「かなぶん」というのは神奈川近代文学館の略称のようだが、頻繁に開催されているわけでもなく、ここ10年は講談師の神田蘭さんが年に一度出演している。僕は昨年が初めての参加。寄席で聞いたことはあったが、…

「悲しみの秘義」

年度末のせいか、仕事で忙しく書店に行く機会がめっきり減ってしまい、行けた時には少し長居するようになった。文春文庫の新刊を見ていると、普通の文庫とは手触りが違う本があった。素材の説明はできないのだが、いつもの指の滑りがいいのとは別で、少し指…

「やまゆり園事件」

ランキング参加中読書 読んでいて気が重くなる本だった。テーマは、2016年に施設「津久井やまゆり園」を植松聖という元職員が襲い、19人が亡くなり、26人が重軽傷を負った事件である。戦後最悪の事件と称される。気が重くなったのは、犯罪のすさまじ…

2023 三浦国際市民マラソン

ランキング参加中ランニング 4年ぶりに開催された三浦国際市民マラソンに参加した。もちろんできなかったのは、コロナウイルスが理由である。今年は第38回で、今回の参加賞Tシャツは黄色なのだが、同じく「38th」とプリントされているが、別な色のTシャ…

「井上陽水英訳詩集」

ランキング参加中読書 読みたいなと思っていた本が中古で手に入った。ロバート キャンベル(本の表記に従い、「・」(なかぐろ)は省く)さんの「井上陽水英訳詩集」。2019年刊行。出た時から気になっていたが、手に取ることなく時間が経ってしまった。…

「田舎医者/断食芸人/流刑地で」

ランキング参加中読書 光文社古典新訳文庫からカフカを読んだ。今回は3作目で「田舎医者/断食芸人/流刑地で」。タイトルになった3作の他、「インディアンになりたい」「突然の散歩」「ボイラーマン」「夢」「歌姫ヨゼフィーネ、またはハツカネズミ族」の…

「はじめてのクラシック音楽」

ランキング参加中読書 歳をとるにつれて、クラシック音楽を聴く割合が増えてきた。グラミー賞授賞式や音楽チャートを見て、興味をそそられてCDを購入するということはほぼなくなった。最近では、T字路sくらいか。枯れてきたとは思いたくないが、T字路sに…

「英詩のわかり方」

ランキング参加中読書 ちょっと背伸びして英詩を読んでみた。自分が普段目にする英語とはまるで違う単語が出てきて、詩自体は短いのに散文以上に辞書をひく回数が多い。Roger McGough というユーモラスな詩人の本だったのだが、そのシャレとなっている部分が…

「私が選ぶ国書刊行会の3冊」

ランキング参加中読書 紀伊国屋書店の横浜店(そごう7階)に行ったら、国書刊行会の50周年フェアをやっていた。扱っている書籍にクラシックな匂いがするものが多いので、もっと歴史のある出版社かと思っていた。僕より若いのだな。 無料の小冊子。読書ア…

「ポピーのためにできること」

ランキング参加中読書 700ページの本を読んだ。「ポピーのためにできること」(原題:The Appeal)に夢中にさせられた。面白い本というのはリモート勤務の大敵である。会社には申し訳ないが半分過ぎあたりからはほぼ一気に読ませてもらった(もちろん、埋…

月刊みすず 読書アンケート特集 2023年

ランキング参加中読書 楽しみにしている「月刊みすず」の読書アンケート。1/2月の合併号掲載が常なので、この時期になる。今回は少し感慨深く読んだ。なぜって「月刊みすず」が今年の8月号で休刊するからである。これが最後かと思ったが、巻末にはなんら…

「犬婿入り」

ランキング参加中読書 多和田葉子「犬婿入り」を再読した。いまやノーベル文学賞発表の時期には、候補として毎年名前があがる(日本のメディアのみかもしれないが)小説家の芥川賞受賞作だ。受賞は1992年の下半期(発表は翌年1月)。80年代後半に社会…

「絵のある自伝」

ランキング参加中読書 ふらっと行っても買いたくなる本があったり、狙った本がきちんと置いてあったりというのが、いい書店の定義かもしれないが、狙った本があったのに別の本を買ってしまわせる本屋も「いい書店」の類に入るのではないか。その意味で、横浜…

「歩くひと 完全版」

ランキング参加中読書 タイトルを見た途端に読みたくなった。そもそも谷口ジローさんの絵は好きだ。そんなによく知っているわけではないが、「孤独のグルメ」にははまっているし(ドラマも含めて)、「坊っちゃんの時代」も繰り返し読んだ。 何がそんなにい…

「今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義」

ランキング参加中読書 講談社現代新書が昨年の夏過ぎあたりから、内容を100ページくらいして、やや安価にした「講談社現代新書100」というシリーズを始めた。思想ものを一気読みさせるというコンセプトのようだ。紙の本だと税込み880円でやや水増し…

「一日一言 人類の知恵」

ランキング参加中読書 古書店で200円で購入した本。すべてではないが、著名人(偉人というべきか)の生没日にあわせて、ごく簡単な略伝と肖像、そして著作物がある人はその一部分を記している(キュリー夫人については、子どもが書いた伝記から抜粋してい…

映画「ソングス・フォー・ドレラ」

久しぶりに横浜シネマリンで映画を見た。いつ以来か思い出せないが、改築後初めてかもしれない。チケットを買う場所が変わったと思ったので、たぶんそうなんだろう。いや、「トイレがきれいになった」という印象を持った記憶もあるので、一度は行った事があ…

「緋文字」

ランキング参加中読書 一生読むことのない作品だと思っていたが、ひょんなことで手にとった。読んでみると結構面白い。とある英語学習紙に、ナサニエル・ホーソーンの「緋文字」が、米国の高校の授業で扱う定番の小説だと書いてあった。なるほど、漱石、鷗外…