「晴走雨読」と題したブログが多いことに気付いた。上手い語呂合わせと自分なりに思っていたが、この程度なら誰でも考えつくということか。「走」の部分はサイクリングの方も多いようだ。晴れの日に走って、雨の日は読書という同好の士が多いというのは逆に心強い気もする。やはりランニングブームでできた言葉なのだろうか。「晴走雨読」が、辞書に載る日も近いか。
とはいえ、現在はリハビリ中で、晴れの日も走ることができない。散歩は幾分スムーズにできるようになったが、走ってるとすぐに右のふくらはぎが張ってしまう状態。少しずつでもよくなっているのは確かなのであせらずに、朝は読書に時間を当てている。
立花隆「読書脳 ぼくの深読み300冊の記録」を読んだ。現在はその立場を佐藤優氏(タイプは相当違うけど)に譲ったように見えるが、40~50代の人間にとっては「知の巨人」の一人。立花氏の関心の幅があまりに広く、ここのところついていけなくなっていたので、ご無沙汰していた。今回は夏の間の読書ガイドとして購入した。そもそもは「週刊文春」の「私の読書日記」の6年分をまとめたもの。立花氏はこの連載を1992年以降続けており(筆者は複数)、本としてまとまるのはこれが4冊目。前半の30ページほどは、東大付属図書館副館長(当時)・石田英敬氏との対談が収録されている。
対談では立花氏が、現在の「紙の本→電子書籍」への移行も画期的だが過去の「巻物(スクロール)→冊子本・綴じ本(コデックス)」も画期的なことで、本に題がつくようになったのはコデックスになってからだと語っている。そして「写本→活版印刷」の移行では、目次や索引が一般的となったそうである。本の「まえがき」では、紙の本と電子書籍の共存期間は長いのではと書いている。
読書ガイドとしてありがたいのは、とても自分では手が出ないような高額な本も紹介されていること。興味のない範囲の本も多いが、気になった本もいくつかある。
メアリアン・ウルフ「プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?」。妙なタイトルだが、身につけた言語によって脳の発達の態様が変わってくるそうだ。日本語脳はひらがな、かたかな、漢字と使い分けるだけに複雑な脳を育てるそうだ。ハヤカワあたりで文庫にしてくれないだろうか。
- 作者: メアリアン・ウルフ,小松淳子
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- 作者: ジル・ボルトテイラー,Jill Bolte Taylor,竹内薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
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その点、ジル・ボルト・テイラー「奇跡の脳」は新潮文庫になっている。脳学者の自分の脳が壊れていく過程と回復していく過程を書いた本。相当に面白うそう。
週刊誌の読者を意識してか、俗的な題の本にも手を出していて結構興味深い。朝日新聞系の出版社(朝日新聞出版)の本を紹介しては、内容を手厳しく批判しているくだりもあるが、それだけこの出版社の本を意識的に読んでいるともいえそう。