先週の木曜だったか。新聞の広告で、集英社インターナショナルが新書を創刊したことを知った。「インターナショナル新書」として5冊を刊行。著者の面子も、池澤夏樹、池田清彦、岩下尚史、福岡伸一、町山智浩と、立ち上げとしてまずまずな印象だ。
せっかくだから、本と映画に興味があるので、町山智浩「映画と本の意外な関係!」を購入した。「!」をつけるほどのタイトルか!と、こちらも対抗したくなったが、本は単純に面白かった。タイトルに「本」となっているが、後半になると映画に登場する「言葉」そのものとの関わりになってくる。
ヘミングウェイ「移動祝祭日」と映画「ミッドナイト・イン・パリ」、映画「インセプション」「マトリックス」とキェルケゴールなど、本や作家と映画の絡みが書かれている。
「007」シリーズの言葉遊びは傑作。登場人物やタイトルに下ネタを含む、パロディとなる言葉が仕掛けられている。実はあまり見たことがなかったけど、こういう言葉が埋め込まれていたりすると、途端に興味がもたげてくる。言葉遊びを生かそうとすると、字幕翻訳者も苦労するだろう。一つくらい紹介するのは許されるだろうか。「ムーンレイカー」は、水面に映った月を「熊手(rake)」で取ろうとする者のことで、「愚か者」という意味だそうだ。なるほど。
この本は、季刊誌「kotoba」の連載をまとめたものだそうで、連載が続いているとすれば、続編も期待できる。
集英社インターナショナルは、名前からして集英社の関連会社だと思うが、親会社の新書とは競合しないのか。それなりに棲み分けはできているかもしれないけど、ちょっと気になる。まあ、面白い本が出てくる分には大歓迎だが。今後、ピーター・バラカンとか、木村元彦とかの本も出てくるかな。