晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニングと気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

新子安「諸星」

 吉田類の「酒場放浪記」で見た影響だが、新子安の「諸星」という酒場に顔を出すのが楽しみになった。のれんに「市民酒蔵」と謳っており、橫浜で「市民酒場」というのは他に何軒かあるそうだ。これは地元のウェブマガジン「はまれぽ」によると、戦時中に大衆酒場を整理統合するため神奈川県主導で、この名称を使ったとか。3店を共同経営をすることにより、酒の横流しなどができないようにしたそうで、当時は200軒近くできたそうだ。

 今は市民酒場はここを含め3軒のみと言われているが、この「諸星」のご主人の「〝常磐木〟か〝みのかん〟くらいでしょうか」という話をもとにしているようで、2軒ともこの店に比較的近く、県主導だったなら県内のどこかにひっそりと残っているかも知れない。

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 ただ、この店が気に入ったのは別に「市民酒場」だからではない。昭和の香りは残っているが、なんか「締まった」感じがする店なのだ。入って右手に5席のテーブル、そして店の特徴である左手に対面式の長いカウンターがある。お店の人は、その間をシャトルのように行き来するだけで、無駄がない。

 オーダーも実はデジタル処理をしているようで(小さい端末機?)、オーダーを取った以上は間違いなくくる。7メートルといわれるカウンターには、他人同士が意気投合して話が弾んで入り交じり、誰のオーダーかわからなくなることもあるだろう。そこをきちんと整理しているように見える。

 まだ数えられるほどしか店に行っていないが、もっとも「締まり」を感じるのはご主人の雰囲気。もともと建築会社に勤務していて家業を継いだらしいのだが、なんか姿勢がよくて、いい意味で水商売にはまっていない人のように見える。それでいて経験値が高そうだ。このご主人がぴしっとしているのが、なんか客に伝播している気がして、客も楽しみながらも、一線は越えていないように見えるのだ。(野毛あたりだとまれに越えている人がいるような。でも最近見ないな「ザ・酔っぱらい」)

 個人的に気に入っているのは、日本酒がたくさんあって、300~500円のアテがたくさんあること。まだ日が浅いし、一人で行っているのでたくさん食べてないが、「温めとうふ」がお気に入り。「煮込み」「長いも月見」もいい。

 できれば月に一度は、この店の大きな暖簾をくぐりたい。