晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル」

 実はWOWOWのドラマを見たのが先である。この作品ではなく、「闇の伴走者 編集長の条件」を見た。それもちょっとしたきっかけで。WOWOWから何か営業メールが届いて、サイトへのログイン情報が必要となった。ログインIDやパスワードを再設定している間に、WOWOWと契約している自分がオンデマンドを見られる状況にあることがわかったのだ。そして「編集長の条件」を見た。全5回という長さもちょうどよく、一日で見てしまった。最初の作品もドラマ化されているが、著者は浦沢直樹氏の漫画でも脚本やプロット制作で名前を見る人だし、ここは本で読んでみようと思った。これもほぼ1日で読んだ。

闇の伴走者: 醍醐真司の博覧推理ファイル (新潮文庫)

闇の伴走者: 醍醐真司の博覧推理ファイル (新潮文庫)

 

  大物漫画家のものと思しき未発表画稿50枚が発見された。猟奇的な犯罪をにおわせる漫画だった。漫画家は既に亡くなっているが、大物だけあってライツビジネスをしているプロダクションは残っている。この漫画を描いたのは本当にその漫画家なのか。プロダクションは、元警察官で調査員をしている水野(ドラマでは松下奈緒)に調査を依頼する。出版社をメインとした調査員だが、漫画の知識がいまひとつの水野はフリーの編集者、醍醐に助けを求めた――。

 大物漫画家はフィクションだが、手塚治虫白土三平など実在した漫画家の評価も埋め込まれていて、興味をそそられる。なるほど、業界ではそのように位置づけられているのか、と思わせられる部分がいくつか出てくる。著者・長崎尚志が漫画編集者を経験し、かつ原作や脚本の仕事をしていたからなのか、読み手がイメージしやすい文章で書かれているように思える。これは単に著者の情報があらかじめ頭に入っているからかも知れない。

 実はぐっと引き込まれたのは別にある。フリー編集者の醍醐が野毛あたりに住んでいる設定になっていることだ。著者も橫浜に住んだことがあるようで、醍醐は商店街フェチということになっている。で、作中に商店街を評価する場面があるのだが、橫浜橋あたりをエスニック色が強くなっているといいつつも評価している。ちょっと解せないのは、山手駅に近い大和町商店街も割と良い評価。個人的には味のある地域とは思っているが、醍醐のいう「良い商店街の基準」とは少しずれている。

 本作のようなサスペンスものはどこまで書いて良いのかわからない部分もあるが、ドラマで「編集長の条件」を見ていても、そんなに邪魔にならず、逆にこの作品のドラマも見てみたくなった。WOWOWのドラマは興味をそそられるタイトルが多い。醍醐が引っ越していないのなら、続編も読みたい。読まなきゃわからないのだけれど。