晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「ツバキ文具店」「ツバキ文具店の鎌倉案内」

 「横鎌日記」を名乗りながら、この作品をネグるわけにもいかないと思って、読んだ本。うん、やっぱり読んでよかった。その昔に読んだ「食堂かたつむり」にもほっこりさせられたが、こちらも読後感がいい。食に関する描写には独特の上手さがある。高級なものや珍しい食材を並べているのではなく、地理的に近いのもあるが、手に届きそうな食べ物なのがうれしい。食べ物自体より、場所や一緒に食べる人、タイミングなどのシチュエーションをより大事にしている印象だ。

ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)

ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)

 

  ポッポちゃんと呼ばれる鳩子は鎌倉の文具店兼手紙の代書屋だ。先代はおばあちゃん。母親については、先代と何かがあったような記述があるが、スッポリ抜け落ちている感じ。続編の「キラキラ共和国」で触れられているかもしれない。

 借金の断り状、離婚の報告など、依頼主に憑依したように書いてゆく。内容によって、筆やペンを選び、文面はもちろん、書体までも変えていく。時には左手で書く。ここらはまさしく、プロの代書屋である(どういう仕事かわかっていないが)。代書の依頼を受けて、出来上がった書面は、手書きという前提なので活字ではなく、書面のイメージをページに張り付けてある。本を読み進めていくと、これがちょっとした箸休めのようだが肝の部分で、文面は作家の腕の見せ所というところだろう。代書の依頼と鎌倉の住人との触れ合いが作品の二本柱。そこに先代との関係が絡む。

 実在する寺や店がいくつも出てきて、鎌倉になじみのある人間にはうれしくなる部分だ。個人的には、鎌倉駅東口から鎌倉宮までは割とよく知っているので、「ベルグフェルド」の部分は、雨の日に時間をつぶすために初めて入って、コーヒーが思いのほか美味しくて、得したよう気分になったのを思い出した。

 作中で主人公と仲間たちが鎌倉七福神めぐりを試みるが(途中で延期する)、北鎌倉駅近くの浄智寺から建長寺の奥からハイキングコースに入って寶戒寺から八幡宮の弁天様に行くコースを進んでいた。個人的にも、スタンプラリー感覚で七福神めぐり(プラス江島神社)を年に一度やっているが、通常、浄智寺八幡宮ー寶戒寺…というコースをたどる。しかし、鎌倉宮で厄払いをしたことがないので、本にならって一度してみようかという気持ちになった。

 そして、「ツバキ文具店の鎌倉案内」。こちらは「ツバキ文具店」の文庫化に合わせて、出版社側は出したものだろう。「ツバキ」と「キラキラ」に登場した場所や店舗が紹介されている。ちょっとした鎌倉ガイドとして使える。由比ガ浜の方面はあまり行かないので勉強になった。

ツバキ文具店の鎌倉案内 (幻冬舎文庫)

ツバキ文具店の鎌倉案内 (幻冬舎文庫)