晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「クイーン・オブ・ザ・デイ クイーンと過ごした輝ける日々」

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒット中。興行収入も日本のみで50億円を超える勢いだという。テレビなどでも、第3次クイーンブームなどと報じている(2次っていつなのだ?)。そんな雰囲気に乗せられてか、ついついクイーン関連の本を読んでしまった。筆者は「ミュージック・ライフ」の編集長だった、東郷かおる子さん。学生時代、中学から高校あたりにかけて、ずいぶんとお世話になった。当時は、FM雑誌(主に英米のチャート)やラジオとともに、貴重な洋楽情報源だった。高校の途中から、「ロッキン・オン」の方の比重が重くなるのだが、理屈っぽい「ロッキン・オン」よりもミーハーな「ミュージック・ライフ」の方が印象に残っている。

  この「ミュージック・ライフ」が日本におけるクイーン人気を牽引した。確かに、自分が読んでいた時期も人気投票はほぼクイーンと各メンバーの独壇場だった。その後、デュラン・デュランあたりの台頭で危機感が生じて、各部門(最優秀グループ、ボーカル、ギタリストなど)にクイーン一色で投票した記憶がある。

 編集者として接してきたクイーンについて書いてある。確かめようもないことだが、たぶん東郷氏がクイーンのデビューアルバムを日本で最初に聞いたのでないか。会社に送付されてきたテスト盤を偶然手に取って聞いたのだという。そして、米国で前座として出てきたクイーンのロジャー・テイラーとの遭遇。取材はしたそうだが、そもそも取材の対象はメインのモット・ザ・フープル。しかも、レコード会社のお世話での海外取材のため、クイーンへの初取材記事は日の目をみることがなかったという。しかし、海外の雑誌が自分たちの記事を載せていると知ったことはインパクトが強くて、ロジャーは大いに喜んでいたらしい。

 当時の東郷氏は、自分の感性と読者の感性は一致していると強い自信があり、クイーンのプッシュには迷いがなかったようである。辞めた理由も、読者の好みを探し始めたからだそうな。今と違って、発信側のチャンネルが少なかった時代の話である。いまなら多様過ぎて、迷うのは当たり前という気がする。

 来日時のエピソードや当時の記事が引用されていて、妙に懐かしい。クイーンについての話もそうだが、洋楽というジャンルがまだまだ強かった時代の話が満載である。アマゾンでは中古しかないようだが、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を機に、どこかで文庫化してくれてもよさそうな気がする。