晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「考える日本史」

 日本史ブームなのだそうだ。出版大手は、文庫・新書といった比較的購入しやすい版型で、日本史関係のラインナップをそろえている。特に中公新書が多いだろうか。

 磯田道史、呉座勇一、本郷和人などの日本史研究家の本が平積みになっている。それこそ「戦国時代」か。実業家であり、立命館アジア太平洋大学の学長である出口治明氏の本もたくさん出ているところを見ると、日本史にとどまらず歴史ブームと言ってもいいかもしれない。

 そんな中、河出書房新社が新書部門に参戦。創刊タイトルの一つ、本郷和人「考える日本史」を読んでみた。本郷氏は東大史料編纂所教授で、専門は中世。しかしながら、守備範囲をどんどん広め「領空侵犯」して、一部研究家の顰蹙(?)を買っているのだそうだ。記述には、「教科書には〇〇と書かれているが」「評価が分かれるところだが」といったフレーズが目立つ。従来の史料の読み込みと評価がわかれるところなのだろう。もっとも本郷氏の本は講義調で(もしくは講義から起こしているので)、「です・ます」調なのだが。

考える日本史(河出新書)

考える日本史(河出新書)

 

  「考える日本史」は、一文字のお題を与えられた本郷氏が、それをもとに日本史を語る形式になっている。信、血、恨、法、貧、戦、拠、三、知、異。ちなみに、文春新書の「日本史のツボ」も、天皇、土地、宗教、軍事、地域、女性、経済のツボをおさえれば日本史がわかるということで、この7つに整理されていて、河出の本とは抽斗の名前こそ違うが、内容は重なるところが多い。それはそれでリマインドされてよかったのだが。

 さて「考える日本史」。タイトルの通り、「知る」より「考える」ことに重きを置いている。単なる暗記科目じゃないぞ、ということ。想像だが、古文書を読み込み当時の日本(厳密にいえば、日本という名称はまだなかった頃もあったろうが)のあり方を考える本郷氏のスタイルそのものということなのだろう。世界史選択だったので、日本史に弱いところはあるが、日本は外圧が少なかったために史料が比較的たくさん残っていて豊かな歴史に触れることができるとか、科挙がなかったせいで日本には知識人があまり育たなかった(代わりに趣味人が育つ)など、なかなか刺激的な内容。現在に生きる人間の心情にあてはめすぎという感もちょっとあるが、ロマンティスト?ながらも本郷氏が歴史をちゃんと「考えた」結果なのだろう。日本史、いや歴史の面白さは十分に伝わった。はまりそうである。