晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「盤上に散る」

 以前「盤上のアルファ」を読んだ時に、この続編も文庫化されたら読んでみようとほぼ決めていた。それが(たぶん)ドラマ化のタイミングで1月に文庫化され、再び塩田武士の本を手に取ることになった。ちなみに「アルファ」は塩田作品の初映像化とのこと。「散る」を読んで、作家として幅が出てきたとの印象を持った。投手に例えれば、見せ球を上手に使えるようになった感じと言えるだろうか。勝手なことを言って申し訳ないが。

盤上に散る (講談社文庫)

盤上に散る (講談社文庫)

 

  「アルファ」は新聞記者・秋葉から、プロ棋士への編入を目指す真田と話が流れ、真田が過去に指導を受けた真剣師と再び出会って、壁を越えようとする話だ。

 「散る」は別なプロットからのスタートだ。母の遺品に真剣師の宛名が書かれた手紙があった。封を切らずに相手に手渡したい――。娘の明日香は宛名に書かれた「林鋭生」という人物を捜すことにする。その間、「アルファ」に登場した秋葉や真田もバイプレーヤーとして登場してくるが、明日香と刑事に脅されて林を捜す羽目になった達也がメイン。明日香の筋に、林を捜させる刑事の筋も絡んでくる。

 全体に流れるのが、昭和の雰囲気。昭和の出来事に関西弁がこれまた絡み、軽妙に話が進んでいく。

 文庫版の巻末には、作家とドラマで真剣師役を演じる石橋蓮司の対談。これは本来、休刊になった「IN★POCKET」に載るはずだったんじゃないのと突っ込みたくなったが、これはこれで作品解説よりはいいのかもしれない。

 クライマックスの将棋のシーン。あまり専門的にならずに将棋になじみのない人でもとっつきやすくなっているように思える。