晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「横濱王」

 横浜が舞台となった本を続けて読んだ。檀原照和「白い孤影 ヨコハマメリー」を読了した後、部屋に永井沙耶子「横濱王」があるのが見えて、メリーさんの話を読んだ勢いで、三渓園の原三渓が絡む小説にとりかかった。著者は、新聞記者から作家に転じたそうである。「日刊ゲンダイ」によると、永井氏は、現在NHKでドラマになっている「盤上のアルファ」の塩田武士氏と同じく、作家になるのを念頭に新聞社に入ったそうだ。もはや社会正義に燃えて新聞記者を目指す人間も減っているということか。それはそれで時代を感じる。塩田氏は神戸新聞、永井氏は産経新聞

 さて、この「横濱王」は関東大震災で被災した昭和13年の横浜が舞台。「横濱王」は原三渓を指すが、青年実業家・瀬田が主人公だ。三渓に出資させよういう瀬田が引き立て役というべきだろうか。彼の目を通じた三渓の評伝とも言える。三渓園には良く行ったし、横浜に住んでいるということで読んでみたが…。

横濱王 (小学館文庫)

横濱王 (小学館文庫)

 

  ちょっと持ち上げすぎではないか、という気がしている。三渓がそんなに偉い人間じゃないと反論したいわけではない(そもそも反論する材料もない)。主人公を書きたいのか、三渓を書きたいのか、バランスが悪いと思う。著者が横浜出身ということで思い入れがあるのだろうが、逆に小説としての面白みが薄まったのではないか。横浜が舞台というのは大歓迎だけど、瀬田に舞台を回させないで、三渓で評伝風の小説にしても良かったと思う(もちろん個人の感想です)。

 「横浜ねらい」がすぎるというか横浜愛がすぎるというか、時代考証としては間違ってはいないが、聘珍楼でサンマーメン(生嗎麺)を食べた後、崎陽軒の「焼売」を食べなくてもいいだろう。そこまで書くなら「シウマイ」としたらどうか(笑)。話はそれるが、個人的には、麦田の「奇珍」のサンマーメンが好きだ。

 でも、桜木町の「ブックエクスプレス」で「横濱王」のタイトルに抗うことができなかったのも事実。暖かくなったら、三渓園に行ってみようと思った。その前に読んだメリーさんの本に出てきた、お浜さんが出てきたのもちょっとうれしかった。次回はメリーさんの本を紹介します。