晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「文楽若手会」

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文楽若手会のポスター 東京・国立劇場にて

 「文楽若手会」に行ってきた。第7回とあるが、見るのは初めてである。主に安価の観劇につられた形だが、個人的な興味は豊竹咲寿太夫と竹本小住太夫が一緒に見られるというところ。この二人、文楽界のホープとみなされていると認識している。同じ役どころを任されることが多く、いわゆるダブルキャストのように、日によって出演が入れ替わることになる。同じ公演を何度も見る余裕はないので、いつも片方だけを見ることになる。この機会にしっかり見比べてみようというのが楽しみの一つだった。

 演目は「義経千本桜」の椎の木の段、小金吾討死の段、すしやの段と「妹背山婦女庭訓」の道行恋苧環。通常なら、主たるところはベテランが任されそうな演目。ベタといえばベタともいえる。

 東京の国立劇場に向かったのは、6月29日。正直な感想を言わせてもらうと、つらかった。見なきゃよかったと思う部分もあった。演じた人たちにダメ出しするほど、文楽がわかっているわけではないが、行けなかった期間もあったとはいえ約20年見てきた文楽の残像と重ねると、あまりにズレがあったような気がしている。同時に、芸とは簡単に身につかないものなのだなということも実感させられた。

 最初の椎の木の段。人形遣いの頭が上下するので、気になる。人形が互いに寄る場面でも、思い切って寄せ切れていない。妙なスペースが生じていた。太夫も、善太(権太の息子)と小仙(権太の妻)の演じ分けが上手にできていないように思えた。進むにつれて気にならなくなってきたのだが、最初に「違う」と思ってしまったせいか、警戒心が生じてしまった。

 「義経千本桜」では、椎の木の段の後半を咲寿太夫、小金吾討死の段を小住太夫が語り、それぞれ無難だったと思っている。咲寿太夫は華があるし、小住太夫には安定感があるように見える。しかし「妹背山」では、この二人が並んで登場したわけだが、咲寿太夫は声があまり出ていないように思えた。「義経」で力を使い果たした感があった。最終日ということで気合が入りすぎたか。役どころとしては咲寿太夫の方が難しい役割だったと思うが、今回は淡々とこなした小住太夫に分があったように見えた。

 小劇場を出たところで、桐竹勘十郎さんにすれ違った。表情は公演に満足しているようには見えなかった。これから舞台裏で若手を集めて、小言のひとつやふたつを浴びせるような表情に見えたが、これはこちらの公演の印象をかぶせてしまっただけなのかもしれない。

 逆に通常の公演が待ち遠しくなってしまったが、今後も若手の公演は追いたい。それはそれで気になる存在になってしまった。次もいくぞ。