晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「ベランダ園芸で考えたこと」

 ペットや植物を育てたあまり記憶がない。小さい時にカメを育てるのに失敗した。それもどうも記憶があいまいで、周りの人間に言われたのでそう思っているだけだ。カメを殺してしまったのか、逃げられたのか、はっきりとした記憶はない。自分は生き物の面倒がみられない人間だと思い込みながら育ってきた。ランニング中に無数のワンちゃん好きにすれ違い、飼い主によっては挨拶もするがうらやましいと思ったことはない。

 植物も一緒。年齢とともに公園に咲いている花の品種が気になったりすることはあるが、育てようという気持ちはない。それでもカレル・チャペック「園芸家12カ月」(訳書によっては「園芸家の一年」)は妙に気に入っていて、一時期、やたらと人に薦めていた時期があった。

 で、山崎ナオコーラ「ベランダ園芸で考えたこと」である。実は、高円寺に行く用事があって、駅前の書店で記念に購入してしまった本だ。慣れない地で気が大きくなったとしかいいようがない。読んだ後も、購入した直接の理由はよくわからない。演芸は好きだが、園芸はまるで興味がない。

  「人のセックスを笑うな」は読んでいないので、山崎ナオコーラさんの本を読むのは初めてだと思う。新聞や出版社が出しているPR誌でコラムかエッセイを読んだかもしれないが、特段の印象はない。ナオコーラというペンネームから、著者紹介に書いているとおり、性別非公表だというのも想像できるが、女性作家たちと旅行しているところを見ると女性なのだろう。書名にも「母ではなくて、親になる」があるので、デビュー以降のどこかの時点で女性であることを明らかにしていると思われる。

 好きな植物というドラゴンフルーツ、ゴーヤーや間引きの話など、まあ、タイトルどおりのエッセイでそれなりに楽しんで読んでいたが、グンと面白くなったのは、12番目のエッセイ「ゴミから伸びるもの」から。それまでモノクロだったが本が急にカラーになって華やいだ感じがした。この作家の特性をグッと感じられたからだろうか。

 「ゴミ」は、好きな言葉だ。私はよく、「あんなものはゴミだ」「自分はゴミだ」「全部ゴミだ」といった発言をする。わくわくするからだ。

 そもそも、月刊「ちくま」の連載だったはずだが、ここらで園芸のネタがつきて、自分をさらし始めたような気になった。ここから、ペースが上がり夢中になって読んだ。気になったのはイラスト。本人が描いているのだが、もうちょっと上手いか下手だと、もっと味がでたような気がする。表紙の絵は結構。