晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「犯罪」

 なんともシンプルすぎる題なので、妙に気になっていた本だった。フェルディナント・フォン・シーラッハ「犯罪」。題の代わりに著者の名前がちょっと長いか。ドイツ語だと名詞は長めになってくる。著者は弁護士。11話の連作短編からなっていて、いずれも自分が担当した事件を語る回想のような形式になっている。「私」の絡み方は様々。

犯罪 (創元推理文庫)

犯罪 (創元推理文庫)

 

  各編、サスペンス物の2時間ドラマというほどのボリューム感はない。長い話で40ページほどか。当然何かしらの事件が生じて、「犯罪」という題があてはまらない話はないが、その濃淡はあって、中東の問題や難民に絡めた話もある。好き嫌いはありそうだ。

 最初は「フェーナー氏」。長年、妻に振り回され、我慢しつづけた男の話。結構インパクトのある話で、想像力が豊かなせいか(?)、このような話が続くのはたまらないなと思いながら、ページをめくった。その他「タナタ氏の茶碗」「サマータイム」「正当防衛」あたりが印象に残ったところか。

 こうなると、もうちょっと長いのを読んでみたいなあという気持ちも出てくるが、今のところ一歩踏み出す気持ちにさせられていない。古本屋で安くなっているのがあれば迷わず買うかもしれない。