勝手ながら、ブラームス・ブームである。中古だと安価で手に入るという点も後押ししている。買いあさるってほどでもないが、ここのところ、週末に1、2枚と買っては家族が起きる前に聴いている。そのせいでランニングに入る時間が遅れている。
前に読んだ、吉田秀和「ブラームス」とタイトルは一緒なので、区別するために副題まで書いた。こちらは、三宅幸夫さんという音楽学者が執筆した伝記である。1986年に刊行されて、手元の文庫本の奥付を見ると、一昨年まで15刷を重ねている。なかなかのロングセラーである。
個人的には親近感が湧くのだが、このヨハネス・ブラームスという人は惚れっぽいくせに人間として不器用な点があるようで、なかなか面白い(失礼)。伝記なので、創作の流れとほぼシンクロしているのも興味深い。
シューマン夫人との関わりが軸となるが、とある大学教授の娘などといわゆる浮いた話はそれなりにあったようだ。結局は終生独身。楽譜に、AとかGなどを使って相手の名前を織り込むようなこともしていたそうである。ちなみに弦楽六重奏曲2番だそうで、該当部分の気にしてみようと思った。
ワーグナーにライバル視されていた時期があった。ブラームス派、ワーグナー派と分かれていたらしい。ブラームスはワーグナーを評価していた模様だが、ワーグナーは徹底して敵視していたという。格としてはワーグナーが上と思っていたが、対抗馬と見られるくらいのレベルだったわけだ。
本を読んで、ちょっとした変化が起きたとすれば、声楽曲に興味が向いたこと。あまりオペラを聞かないが、「ドイツ・レクイエム」は一枚購入して聞いてみた。ドイツ語もラテン語もわからないが、曲のフレーズとしては気に入った部分がいくつもあって(歌詞は聖書の一節ということしかわからない)、評価されるのがちょっとわかった気がしている。とりあえずショルティ指揮のを買ったが、購入しやすい値段の物があれば、他のものも聞いてみたい。
- アーティスト:ショルティ(サー・ゲオルグ),カナワ(キリ・テ),ヴァイクル(ベルント),シカゴ交響合唱団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/02/21
- メディア: CD
この新潮文庫の「作曲家の生涯」シリーズは、ほかにバッハ、ベートーヴェン、ショパンがあって、そちらも手を付けたいと思った。「ブラームス」に収録された地図は、いまだに東西ドイツが分離したまま。いい加減にその部分だけでもアップデートしたらどうだろうか。