晴走雨読 横鎌日記

無理しないランニング(最近ちょっと無理している)と気ままな読書について綴ります。横浜と鎌倉が中心。映画やお出かけもあり

「ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた」

 個人的に刺さるタイトルだ。ウルトラQからウルトラマンタロウまで、お付き合いした世代だが、就学前に出会ったウルトラマンウルトラセブンの印象が強い。ウルトラマンであるハヤタ、セブンのダンを演じた、黒部進森次浩司(現・晃嗣)に対しては、その後もハヤタ、ダンのイメージがつきまとった。本人たちも、役者としてやりづらかった時期があっただろう。こちらも「ハヤタ」や「ダン」が他の役を演じるのを見ると違和感が生じた。

 筆者の青山通さんは自分よりも5歳ほど年上、音楽業界で生きてきた人らしい。音楽の道へ進むきっかけがウルトラセブン、しかもウルトラセブンの最終回で流れた音楽だというのだ。再放送だと思うが(自分ではオンタイムで見たつもりだが、年齢的に違うようだ)、自分も最終回は見ているはず。しかし、話の筋はおぼろげながら覚えているが、そこで流れた音楽までは記憶にない。筆者は、そこで流れた音楽に心をつかまれ、その音楽の「正体」につきとめようとする。

ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた (新潮文庫)
 

  ウルトラセブンが単なる子ども向けの特撮ものでないのは知っている。そこに社会の矛盾や差別問題なども練り込まれている。さて、その最終回。ダンはアンヌ(菱美百合子。現・ひし美ゆり子)にウルトラセブンであることを告白する。ひし美ゆり子で語りたいこともあるが、ここは我慢して、話を進める。

 ここで流れるのが、シューマン作曲のピアノ協奏曲だ。ウルトラセブンにはオリジナル曲もたくさんあるが、ここはクラシックの登場である。この時の筆者は小学2年生あたりであろう。この歳で音楽に感動するという感性を持っているのに驚く。ウルトラセブンで流れる曲の作曲と選曲は冬木透氏が担当していた。

 当然クラシックとなると、いろいろな指揮者や音楽家が演じている。筆者は、当時の記憶をもとにウルトラセブンで流れたシューマンが、エルネスト・アンセルメ指揮、ディヌ・リパッティがピアノを弾く、1950年録音のものだと7年目にしてたどりつくのだ。この出会いが理由なのだろうか。筆者は音楽関係の道へ進む。そして、冬木氏に選曲の意図などを確かめるに至る。私的な興味がちょっとしたドラマにつながっていくドキュメンタリーとなっている。

 セブンの最終回を見て、ゼットンにやられたウルトラマンとの比較にしか頭が回らなかった自分とは相当な差がある。このような耳や感性がないと音楽への道には進めないのかもしれない。楽器もできない、音楽は聴くだけの自分の現状に妙に納得してしまった。短い話ながら、夢中に読ませてもらった。