晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「オーケストラがやって来た」

 クリスチャン・メルラン「オーケストラ 知りたかったことのすべて」が読みたいと思っているが、みすず書房の書籍は高額である。相応のボリュームがあるとはいえ、6000円。消費税込みだと6600円だ。緊急事態宣言が解除され、いまでこそ図書館で借りるという選択肢が生じてきたが、古本屋で別のオーケストラ本に出会ってしまったので、とりあえず待つことにした。

オーケストラがやって来た

オーケストラがやって来た

 

  古本屋で見つけたのは1983年刊の旺文社文庫山本直純「オーケストラがやって来た」。学習書一本のイメージが強い旺文社も文庫を出している時期があったのだ。この4年後に旺文社文庫は廃刊する。こんなことを書いていると完全に脱線してしまうので、山本直純さんとその著書に話を戻す。

 いまや「YELL」と言えば、いきものがかりだが、自分にとってはチョコレートである。そして、商品そのもののイメージよりも強烈だったのが、「大きいことはいいことだ‼」の作曲者でCMにも登場していた、山本直純さんである。たぶん指揮者という仕事を認識した人の第一号である。というか、指揮者という仕事がよくわからないまま、山本直純さんを認識していた気がする。

 「男はつらいよ」「8時だよ、全員集合」などのメロディーはもはや殿堂入りレベル。同じ齋藤秀雄門下の小澤征爾さんには世界を目指せと背中を押し、自分はクラシックのすそ野を広げ、音楽を普及するべく、お茶の間に知られる存在となった。この本は、同名の番組が始まったころに刊行され、番組が終了するタイミングで文庫になった。クラシック音楽普及の趣旨を十分に反映していて、コンサートの楽しみ方や楽器のこと、ユニークな音痴矯正法などが書かれている。

 この本はのちの実業之日本社で再編集の後、再刊されているようなので、そちらの方が手に入りやすいかもしれない。ただ、こちらの方の表紙は(たぶん)山藤章二さんが描いているが、この古いほうは和田誠さんが描いている。和田さんによるストラヴィンスキーカラヤンなどの挿絵がたくさん使われていて、和田さんのイラストが好きな向きにはたまらないほどだ(山藤さんが嫌いなわけじゃない)。山藤さんの表紙と思われる再刊本の中身のイラストはどうなっているのだろうと気になってしまった。このころの和田さんのタッチってかなりシンプルに見える。ペンが違うのかな?

オーケストラがやって来たが帰って来た!

オーケストラがやって来たが帰って来た!

  • 作者:山本 直純
  • 発売日: 2014/09/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)