晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

きく

「親愛なるレニー」

「不機嫌な英語たち」を書いた吉原真里さんに、日本エッセイスト・クラブ賞や河合隼雄物語賞を受賞している作品があると知って、後追いで読んだ、「親愛なるレニー レナード・バーンスタインと戦後日本の物語」。初小説となった「不機嫌」も良かったが、こち…

「ショパンに飽きたら、ミステリー」

昨年、「六本指のゴルトベルク」を読んで、探した本。割と簡単に見つかった。「六本指」同様、音楽とミステリーを絡めたエッセイがメイン。というか、こちらが10年以上も先なので、とりあげる本は古くなるが、自身についてのことなどにも触れられている。…

「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」

今年はミュージシャンの訃報が相次いだ。自分も歳を取ってきているので、若い時に親しんだ音楽家たちが、それ相応の年齢になってきているのはわかるが、「早い」「早すぎる」と感じさせる人が多かった。若いときに無茶していたのだろうか。 個人的には、坂本…

「六本指のゴルトベルク」

またまた中公文庫を読んでしまった。ロック、ジャズ、クラシックの名盤紹介とか、音楽家の伝記など音楽物は結構読んできたつもりだったが、こういう本ははじめて出会ったかもしれない。著者は、青柳いづみこさん。この人が音楽家(ピアニスト)であり、文章…

「森のうた」

岩城宏之さんのエッセー「指揮のおけいこ」に続き、「森のうた」を読んでみた。こちらの本は、時系列的にも出版も「指揮」よりは先。副題に「山本直純との藝大青春記」にあるとおり、東京芸術大学(本では、「藝大」と表記している)に在学している時の話を…

「指揮のおけいこ」

オーケストラの指揮者の仕事って、わかるようでわからない。とはいえ、なんとなくはわかるような気もする。これまでも指揮者関係の本をいくつか読んできたが、岩城宏之さんは初めてなので手に取った。表紙も可愛らしい。 指揮のおけいこ (河出文庫) 作者:岩…

「音楽と生命」

3月28日に亡くなった坂本龍一さんと、「動的平衡」シリーズで知られる生物学者・福岡伸一さんの対談をまとめた本。そもそもはNHK Eテレの番組で放送された対談を加筆・編集して一冊の本になった。刊行日が亡くなった翌日の29日になっているのが、なんと…

かなぶん寄席 講談「お富の貞操/小田小右衛門」

神奈川近代文学館に行って講談を聞いてきた。「かなぶん」というのは神奈川近代文学館の略称のようだが、頻繁に開催されているわけでもなく、ここ10年は講談師の神田蘭さんが年に一度出演している。僕は昨年が初めての参加。寄席で聞いたことはあったが、…

「はじめてのクラシック音楽」

ランキング参加中読書 歳をとるにつれて、クラシック音楽を聴く割合が増えてきた。グラミー賞授賞式や音楽チャートを見て、興味をそそられてCDを購入するということはほぼなくなった。最近では、T字路sくらいか。枯れてきたとは思いたくないが、T字路sに…

映画「ソングス・フォー・ドレラ」

久しぶりに横浜シネマリンで映画を見た。いつ以来か思い出せないが、改築後初めてかもしれない。チケットを買う場所が変わったと思ったので、たぶんそうなんだろう。いや、「トイレがきれいになった」という印象を持った記憶もあるので、一度は行った事があ…

「更に、古くて素敵なクラシック・レコードたち」

ランキング参加中読書 年末だったろうか、書店をのぞいたら、村上春樹「古くて素敵なクラシック・レコートたち」が平積みされていた。1年半前ごろにでた本のはずなのに、どうしたクラシックネタの本でも並べているのかと思っていたら、続編が出ていた。 自…

「T JIRO s」「Tの讃歌」

久しぶりにCDを買った。しかも2枚も。 テレビ番組で彼らを見たのがきっかけだ。T字路sという男女のグループ。二人なのでデュオというべきか。ボーカル兼ギターの女性(伊東妙子さんだそうだ)の歌声が刺さった。水道の蛇口を開ききったような歌声。小細…

朴葵姫 ギターリサイタル(トッパンホール)

久々にギタリスト・朴葵姫(パク・キュヒ)のリサイタルに行ってきた。3月の東京公演がコロナで延期になり、この7月に振り替えになっていた。感染者数は今の方が多いのに、不思議といえば不思議である。この振替公演に気づかず、当日券狙いでトッパンホー…

映画「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」

横浜のミニシアター「ジャック・アンド・ベティ」から招待券をいただいたので(会員なので)、映画を見に行った。写真右の「スージーQ」と「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」で迷ったのだが、若い時のお付き合い度が高い後者を選択…

「中島みゆき詩集」

角川春樹事務所が「にほんの詩集」というシリーズを刊行している。4月から3人ずつ、12人の詩集を出す予定になっている。4月の3人は、谷川俊太郎、長田弘、中島みゆきという面々。谷川さんと長田さんは、改めて買う事はないかと思い、「中島みゆき詩集…

「国家と音楽家」

戦争など国家同士の対立や革命が起こると、ふだんは政治と無関係と思われているスポーツ選手や音楽家までが「態度」の表明を迫られることがある(表明しないこともある種の「態度」であることも含め)。今なら、ロシアやウクライナがそうであろう。プーチン…

「喫茶店で松本隆さんから聞いたこと」

書店主(雑貨も売っているようだが)の山下賢二さんが、京都の喫茶店で作詞家の松本隆さんから聞いた話をまとめた本。出版社は夏葉社。章立てが喫茶店別になっている。松本隆さんは説明不要なはず。東京生まれ(港区)だが、数年前に関西に移住しているとの…

「感じるオープンダイアローグ」

精神的に困難を抱えている人を回復させる方法として、「オープンダイアローグ」という方式があるという。「その人のいないところで、その人の話をしない」「1対1ではなく、3人以上で輪になって話す」というのが基本形だそうだ。思わず「基本ルール」なん…

「韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか」

韓国出張経験が割とあり言葉が多少使えるので、15年くらいまで周囲には「韓国通」だと思われていたようだが、今や随分と縁遠くなってしまった。韓国映画は好きなのだが、ドラマはまるでみていない。日本のドラマも含め、そもそも連続物を見る習慣がない。…

「カムカムエヴリバディ」2題

NHKドラマはさほど見ないくせに、「カムカムエヴリバディ」の平川唯一さんには興味があって、本を二冊読んだ。どちらも筆者は、唯一さんの次男、洌(きよし)さん。PHP文庫の「『カムカムエヴリバディ』の平川唯一」が唯一の人生をたどった本で、NHK出版の「…

「古くて素敵なクラシック・レコードたち」

村上春樹さんの小説には、音楽が登場してくる。ジャズもあればポップスもある。「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」あたりはクラシックも出てくる。小澤征爾さんとの対談もあるし、相当に詳しいのだろう。この本は、村上さんが持っているクラシッ…

「志ん生の食卓」

正直、古今亭志ん生の高座は見たことない。1973年に亡くなっているので、見たとしてもテレビだろう。当時は、落語という芸すら認識していなかったと思う。息子の志ん朝はなんとか生で見ている。江戸を体現した華のある落語家だった。父親の方はもっぱらCDで…

「宮沢賢治のオノマトペ集」

ひょんなことから、宮沢賢治を読む機会があった。わざわざ本を購入しないまでも、教科書で作品が紹介されているので、宮沢賢治に全く触れずに大人になるというのは難しいはずである。短い作品を2、3つ読んで数日して、ふと書店をのぞいてみると、この本が…

「指揮者の役割」

どうもわからない仕事の一つが、オーケストラの指揮者。ここのところ、クラシック系の本はよく読むのだが、何かビシッとはまらない。それなりにリハーサルをして、曲の解釈を団員にしっかり伝えていれば、コンサートの本番にはいらない気がする。となると、…

「山本直純と小澤征爾」山本編

クラシック音楽の世界最上位の一人として活躍する唯一の日本人である小澤征爾さんにとって、彼の背中をぐっと押し出す存在が山本直純さんだった。いわゆる中年以上は、テレビで彼の顔を認識しているだろう。「男はつらいよ」「8時だよ、全員集合」に、「3…

「山本直純と小澤征爾」小澤編

単純に山本直純さんについてもっと知りたいので購入した本。「オーケストラがやって来た」は本人が書いたものだし、70年代あたりまでの話なので、2002年に亡くなった人の評伝としては物足りない。この本はタイトルの通りに、小澤征爾さんとの絡みだが、世界…

「オーケストラがやって来た」

クリスチャン・メルラン「オーケストラ 知りたかったことのすべて」が読みたいと思っているが、みすず書房の書籍は高額である。相応のボリュームがあるとはいえ、6000円。消費税込みだと6600円だ。緊急事態宣言が解除され、いまでこそ図書館で借りるという選…

「ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた」

個人的に刺さるタイトルだ。ウルトラQからウルトラマンタロウまで、お付き合いした世代だが、就学前に出会ったウルトラマンとウルトラセブンの印象が強い。ウルトラマンであるハヤタ、セブンのダンを演じた、黒部進と森次浩司(現・晃嗣)に対しては、その後…

「ブラームス カラー版 作曲家の生涯」

勝手ながら、ブラームス・ブームである。中古だと安価で手に入るという点も後押ししている。買いあさるってほどでもないが、ここのところ、週末に1、2枚と買っては家族が起きる前に聴いている。そのせいでランニングに入る時間が遅れている。 前に読んだ、…

「ブラームス」

クラシックには明るくないのだが、ブラームスは結構好きだ。とはいえ、詳しいわけではない。このドイツの作曲家が好みになったのはある映画がきっかけになった。パトリス・ルコント監督の「仕立て屋の恋」。この作品のおかげで「ピアノ四重奏曲第1番」だけは…