晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「破門 ふたりのヤクビョーガミ」

 2017年1月下旬公開の「破門 ふたりのヤクビョーガミ」を見る機会があった。黒川博行直木賞受賞作「破門」の映画化。佐々木蔵之介(桑原保彦役)、関ジャニ8(8は横倒し)・横山裕(二宮啓之役)のダブル主演となっている。小林聖太郎監督。

 以前にドラマ化されていて、こちらはそれぞれ北村一輝濱田岳の配役。黒川博行の「疫病神」シリーズで直木賞作品となれば、話の面白さは申し分ない。ドラマの方は8話構成で、見てはいないが、尺からして比較的原作に忠実と思われる。

 しかし、映画となると尺の長さは決まってくる。原作どおりにやってしまっては3時間、4時間でも収まるまい。この映画は120分。話のつまみ方が大事になってくる。その点は比較的スッキリ見られるような作りになっている。スタッフも苦労したに違いない。

 話の筋は、二蝶会若頭・嶋田が会社名義のカネながら、映画プロデューサーに映画製作出資金を持ち逃げされ、二蝶会のヤクザ桑原と子どもの頃から嶋田に可愛がられている建設コンサルタント、二宮がそれを追跡するという話。持ち逃げの裏には同系列のヤクザも絡み、トラブルはより大きくなっていく。

 ドラマの予告編を見た限りでは、ドラマの方がよりヤクザものに近いような気がする。映画の方は、ややソフトでコミカルな感じを受ける。ここらはジャニーズのタレントを使っているからかも知れないが。横山演じる二宮の成長譚にもなっているので、ヤクザ映画(との括りでいいのかな?)とはいえ、ドロドロした印象は受けない。久々に悪役をやったという橋爪功(映画プロデューサーの小清水役)の演技も光る。

 久しぶりに松竹映画を見たので、結構新鮮で単純に面白かった。今年の日本映画は終わってみれば、「シン・ゴジラ」と「君の名は」のみの印象。作品そのものが評価された結果だろうから、それにケチをつける気は毛頭無いが、このような懐かしさを感じる娯楽ものが割って入れないか……。

 この「疫病神シリーズ」には「国境」という、二人が北朝鮮に潜入する作品があり、こちらの方がより映画向けと思われる。続編を作るためには、本作がある程度ヒットしないといけないだろう。