晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集」

 あけましておめでとうございます。昨年は本の読了の数も走った距離数も停滞気味。今年は100冊/1200㌔くらいを目安にしたい。距離に関してはちょっと甘いが、今年は筋力をつけるのを目標にして、走るための体の環境を整えるのを第一にするつもり。

 さて年末に読んだのは、ヨン=ヘンリ・ホルムベリ編「呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集」。北欧のミステリのレベルの高さは、スティーグ・ラーソンジョー・ネスボあたりですでに証明済みだが、実は、マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールーの「マルティン・ベック」シリーズとネスボくらいしか読んだ事がない。書店で黄と青のスウェーデン国旗をイメージしたハヤカワ・ポケット・ミステリに気づいて、年末の旅行用に購入。そもそもは英語圏向けのアンソロジーで、2014年に「A Darker Shade of Sweden」として刊行された。

呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集 (ハヤカワ・ミステリ)

呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集 (ハヤカワ・ミステリ)

 

  短編17作を収録(中にはやや長い作品も)。これでスウェーデン・ミステリなるものがおおまかにわかったとは言えないが、女性作家や弁護士・ジャーナリスト(出身)が多く、かつ共作作品が多い。編者による前文がこの国のミステリ作品の流れを把握するのに一役買ってくれるはずだ。

 読んだ印象としては、タイトル作のスティーグ・ラーソンやマイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー、ヘニング・マンケル(収録作では、ホーカン・ネッセルと共作)などは、読みやすいというか筋を捕まえやすい。個人的には、アンナ・ヤンソン(「指輪」)、ヨハン・テオリン(「乙女の復讐」)が印象に残った。ダグ・エールルンド「瞳の奥にひそむもの」は、スウェーデンに住むクルド人の移住した親とそこで育った子どもたちの間の価値観(特に恋愛)の違いを際立たせていて、興味深かった。

 すでにハヤカワや東京創元社などで訳が出ている作家も少なくなく、自らの不明を恥じる結果となったが、書店でこれらの出版社の棚をながめるのは楽しみになった。スカンジナヴィア推理作家協会(スウェーデンノルウェーデンマークフィンランドアイスランド)が選ぶ「ガラスの鍵賞」受賞者を中心に読んでみようか。