今年も「月刊みすず 読書アンケート特集」が届いた。ちょうど昨年も同じ日にアップしている。2018年なので、2017年に読んだ本のアンケートである。昨年も書いているが、昨年に読んだ本であって、昨年の新刊とは限らない。
さまざまな分野の人が答えているのでまとまりはないが、以下の4冊が複数の人間がとりあげていた気がする。数は数えていないが、印象に残ったのであげてみる。
中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
- 作者: 國分功一郎
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2017/03/27
- メディア: 単行本
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「中動態の世界 意志と責任の考古学」
能動態でも受動態でもない「中動態」。能動と受動以外にも、ほとんど意識されない中動態があり、そもそも中動態から受動態になっていたとか。本は積読中。いずれ、向きあってゆっくりと読み進めてみるつもり。ちなみに著者の國分氏もアンケートに答えていて、ハンナ・アーレント「活動的生」「過去と未来の間」、プラトン「ゴルギアス」、スピノザ「エチカ」(第5部)をあげている。アーレントの本は昨年もあげたと書いているので、少数の本を深く読むタイプなのかも知れない。
子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から
- 作者: ブレイディみかこ
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2017/04/19
- メディア: 単行本
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「子どもたちの階級闘争 プロークン・ブリテンの無料託児所から」
書店で著作をやたらとみかける、ブレイディみかこ氏。実は読んだ事がなくて、どんな人かよくわからない。保育所の現場から、英国の貧困問題などを伝えてくれる人のようだ。せめて新書くらい読んでみようかと思うが、興味があるのは「モリッシー」本。前述の國分氏との共著もある。ブレイディみかこさんもアンケートに答えていて、二つは英訳されたばかりのギリシャの(元?)財務大臣の経済論と自伝をあげている。英国で売れているらしい。3冊目は、オーウェン・ジョーンズ「チャヴ 弱者を敵視する社会」。かなり傾向は見えてきた。
「光の犬」
お世話になった「考える人」の元編集長である、松家仁之氏の小説。「火山のふもとで」「沈むフランシス」とともに文庫化されるのを待っている。松家氏は、田川健三訳著「新約聖書 訳と註」、倉谷滋「分節幻想 動物のボディプランの起源をめぐる科学思想史」、田中勝則「中村とうよう 音楽評論家の時代」、ジョン・バージャー/ジャン・モア「果報者ササル ある田舎医者の物語」、村上春樹「騎士団長殺し」をあげている。
「チリ夜想曲」
白水社刊「ボラーニョ・コレクション」の最終配本。これも積読。「2666」も置いてあるので、そろそろ「通話」以外も読まないと。
その他、千田善氏は木村元彦氏の最新作をあげていたり、村上陽一郎氏が音楽関係の本をあげていたりしたのが、印象に残った。ここ数年の傾向だが、値の張る本に手が出ていないので、特集で取り上げられた本と距離感が生じている。