横浜市中区長者町にあるライブハウス「FRIDAY」。40年続いている。音楽好きや地元で飲む連中には知られたハコなはずだが、伊勢佐木町や福富町界隈に縁のない人や県外の人にはわからないのも無理はない。クレージーケンバンド(メンバーを絞って)が定例ライブを行う場所といったら通りがいいかもしれない。最近は40周年記念ライブが20日にあった。
基本、月曜が定休。客席は50ほど。スタンディングの時もあるかもしれないが、テーブルがあり席に座って見るスタイルだ。ステージが高いわけではなく、客席と同じ高さ。ミュージックチャージは3000円から。クレージーケンバンドとなると仕切りがきつくなる場合がある。ベテラン勢になると値段は5500円あたり。ワンドリンク+フードは注文することとなっている。
で、映画「FRIDAY」はこのライブハウスと80歳となったマスター(撮影時は79歳)のドキュメンタリーだ。
マスターは磯原順一さん。店では、音響と予約を担当している。映画に登場する宇崎竜童氏、近田春夫氏らは口をそろえて、この店に来る客はアーティストよりもハコ(店)が好きで足を運び、お店というよりはこの磯原さんに会いに来ているのだという。
横浜には魅力的なマスターが多い。「ちぐさ」の吉田さん、「ダウンビート」の安保さん、「パパジョン」の島村さん。みなさんすでに亡くなっているが、それぞれマスターが店以上の魅力を持っていた人たちだ。個人的には、安保さんが好きでジャズもよくわからないのに「ダウンビート」に通ったものだ。「ちぐさ」の吉田さんがちょっと強面だったのと、「ダウンビート」が酒を置いていて、かつ懐にやさしかったのもあるが、人当たりの良さに癒されていたのがメインの理由である。島村さんも茶目っ気があって接しやすかった。
さて、自分の「FRIDAY」歴はほんの一回である。飲み仲間に誘われて、南條さんのバンドが出ていて、楽しんだ記憶がある。その後、もう一度行ってみようと思っているのだが、どうせ行くなら「クレージーケンバンド」の時と思って、なかなかチケットが取れないとの話を聞き、実際には行動に移せない日が続いていた。
映画を見て、誰がステージに上がる時でもいいから、もう一度、映画の雰囲気を味わいに行こうと思った。それでもオールディーズ系よりはソウル系がいいかな。ドリンクもフードもやや割高な気もするが、近いうちに1万円札(カード可らしいが)を握りしめて、この雑居ビルの3階に行ってみよう。