ジャック・ロンドン「野性の呼び声」を読んだ。最近、ハリソン・フォードの出演で映画化された小説である。映画化もたびたび、日本語訳もたくさんある。読んだのがずいぶん古い本で、なんとウィキペディアにも訳者の名前が載っていない。結構、レアな本を読んでしまった。アマゾンにもないので現在手に入る翻訳本を貼り付けておく。
ネタバレになるが、ざっと筋は書いておく。古典と言える作品なので抵抗感はないだろう。バックという犬がさらわれて橇犬にされて、極寒の中、人間や犬たちに揉まれ、リーダー犬となり、野性に目覚めていくという話だ。日本語訳で「荒野の呼び声」という題もあるらしい。内容からすると、やはり「野性」がいいか。「野生」だと自然に帰っていく感じがするし。
自分が読んだバージョンには、ジャック・ロンドンの生涯について書かれていた。そんなに長い小説ではないので、埋め草だったのかもしれない。その短い伝記によると、ロンドンは40歳で死去。短命の作家と言えば、フィッツジェラルドやトマス・ウルフがいるが、ほぼ15年の活動の間に50篇ほどの作品を残しているのでかなり精力的な活動ぶりだったようだ。
ロンドンの作家活動に日本がかかわっていると知ると、ぐっと親近感が増す。この作家はいわゆるヘミングウェイに近く、アウトドアというか、冒険型というか活動的だったようだ。1893年、水夫として日本を訪れたときに、泥酔して横浜港を泳いだそうである。「日本沖の台風物語」(Story of a Typhoon off the Coast of Japan)という短編が雑誌に入選し、本格的に作家を志したという。
テレワークの合間の1冊。まだ曜日によっては出社しないと仕事が回らないアナログな職場で、ここ2週間混乱気味だったが、やっと慣れてきた感じ。3月後半はあまり本を読めなかったので、徐々にペースを戻していきたい。