晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「にょにょにょっ記」

 テレワークの日が増えてきた。会社に行かないとできない仕事もあるので、ずっと家にいるわけではないが、それでも週2、3日は家にこもっている。社にいる時は、仕事の合間に本や新聞を読む時があるのに、家でのテレワーク中は子供にサボっているのを見られている気がして、逆に本を読む時間が減ってきたようだ。つくづく小市民だなと思ってしまう。ついでに言えば、通勤時間が減ったのも痛い。その通勤中も、混み具合や窓の開閉、マスクをしていない人の有無などが気になってきている。

 読書が滞っているときには、穂村弘さんの本を読んで、気持ちに鞭を入れるというか、読書って楽しいなと脳に刺激をいれることがある。で、「にょにょにょっ記」を読んだ。ずいぶん前に買ったのだが、購入して間もなくイラストを描いたフジモトマサルさんが急逝してしまったのだ。急逝と思ったのは、フジモトさんが白血病だったと自分が知らなかっただけなのだが、こんなタイミングで亡くなるとは思わなかった。ちょうど同僚と、フジモトマサルのイラストっていいよねと話題にしてたころだったし。

にょにょにょっ記

にょにょにょっ記

 

  読んでしまうと、フジモトさんとの縁が切れそうな気がしていたが、同じくイラストを描いている村上春樹の「村上さんのところ」コンプリート版はまだ読み残しているので、こちらは読んでしまうことにした。

 「にょっ記」「にょにょっ記」の続編で、月刊「文藝春秋」で連載していた。いや、まだ連載しているかもしれないが、「文藝春秋」をあまり読まないからわからない。この雑誌を読むときは、会社においてあるものを記事を狙い撃ちして読むので、他のページはわからない。買うのは芥川賞作品を掲載するときくらいで、これまたここ数年は買っていない。

 相変わらず、どうでもいいことが、面白く書いてある。やたらと下3桁が「980円」(きゅっぱ)じゃなくてもいいのではないか、22世紀に宇宙人が来て「どうして、値段がきゅっぱなのか」と訊ねてきたら恥ずかしいとか。

 いつもながら、穂村さんは日常の中にちょっとしたズレというか齟齬というか、もしくは勝手に自分が勝手にズレて、その段差みたいなものを上手にフレームアップして書いてくれる。歳は結構近いはずなんだけど、こちらがすでに乾ききっているところが、まだ潤っているように見えて妙に感心する。やはり歌人って違うのだなと。