プロ野球。昔ほどTV放映はやっていないし、試合経過ももはや気にならなくなってきた。しかしながらユニフォームというのは結構気になるのである。これはサッカーも同様で、昔のように買うことはなくなったが、変遷というのは気にしている。野球帽もそうだ。交流戦などで復刻したデザインがでたりして、逆に時代を捉えるのが難しくなったなあと思っていた時にこの本が出た。かつて「プロ野球ユニフォーム物語」を購入し、綱島理友さんのショップで買い物をしたことがある自分にとってはこの本の購入は必須である。
日本プロ野球全球団の帽子デザインの変遷が載っている。その移り変わりに「あった、あった」を目を細める箇所が少なからずあるが、野球帽って深いなあといまさらながら思わされた。知らなかったことが多い。頭が大きくて似合わないという理由から、帽子が嫌いで、あまりかぶらないということもあるのだが。
その昔、ピッツバーグ・パイレーツが採用していた飯盒を逆さにしたような、上の部分が平たい帽子。あれはピルボックス型というらしい。軍帽がベースだという。日本でも明治時代はこの型が多かった。現在の野球帽の原形と言えるのは、ブルックリン・スタイルというそうだ。このデザインが標準化していき、日本でも大正時代にはブルックリン型が主流となったそうだ。
昔はツバの裏は緑色だった。自分がプロ野球チームの帽子を初めて買った時も確かに緑色だった。しかしシンシナティ・レッズが、米海軍の乗組員たちの目のために米政府が軍艦の色をグレーにしたことを受けて、ツバの裏をグレーにして、1980年代にはMLBの全チームのツバの裏はグレーに。その後、98年にアナハイム・エンゼルスが黒にすると、2007年に全チームが黒になったという。そのツバも昔は「へ」の字に曲がっていて(曲がっているのは中心だが)、自分でも力を加えてより鋭角に曲げていたのだが、いまはフラットなものが多いという。
ちなみに、「野球規則」では野球帽をかぶらないといけないという規則はない。ただ、チームと同一のユニフォームで試合に臨まなければいけないという規則があるだけだそうである。
眺めるだけで楽しい本だが、綱島さんも、帽子のデザイン一つひとつにこれだけのコメントを寄せることができるものだと感心した。もし手にすることがあったら、ひいきのチームの部分だけでもじっくり読んで欲しい。特に、横浜DeNAベイスターズのファンは楽しめるのではないかと思っている。綱島さんがファンのせいだろうが、このチームの野球帽のデザインのコメントは、妙に主観的で、愛情がこもっているように思えるのだ。