「dancyu」に掲載された、角田光代さんと堀江敏幸さんが、「食」にちなんだ小説やエッセイ(漫画もあった)を紹介する連載が一つの本となり、その後、文庫化された。二人が交互に担当。100冊分(100食分?)が収録されている。近年、あまり「dancyu」を買わなくなったので、まだ連載が続いているかどうかは知らない。今度、立ち読みしてみよう。
食にちなんだ本は好きなので、かなり楽しめた。向田邦子、内田百閒、吉田健一、開高健あたりは読んだ記憶があるし、角田作品をあまり読んだことがないので、彼女が書いた部分はかなり新鮮な気持ちに読めた。堀江さんもずいぶんご無沙汰で、早く「なずな」を読まなくちゃとせかされる気持ちになった。
この連載は途中で、「dancyu」の特集に合わせた「お題」をもとに書くことになったそうで、お二人は場合によって「狙った」読書を強いられたことになったという。「食」という先に並べた作家が思い浮かぶが、個人的に発見したのは松下竜一という歌人であり、のちにノンフィクション作家になった人。ここに紹介された「豆腐屋の四季」はぜひ読んでみたい。この手の本はブックガイドとして読んでいる部分もあるので、このような刺激はうれしい。早速、明日にでも古本をめぐり、なければアマゾンで買うほかない。
そういえば、この連載が続いていれば、取り上げられるかもしれない本が気になっているのだ。カルミネ・アバーテ「海と山のオムレツ」。薄い本なのに、税抜きで2000円近くするから、購入を迷っている。10月に出ているので、まだ古本になっているのは早いだろうか。どうも「オムレツ」という言葉に弱いのである。
太田愛人「辺境の食卓」というのも面白そうだ。最近、少しばかりキリスト教関係の本を読みだしているので、著者が牧師さんというのも興味が湧く。ご存命のようである。「自然」「大地」といった言葉を含んだ著書もあるので、結構好みなのかもしれない。
大いに読書欲を刺激されて、冬休みに入りそうだ。1週間程度だが、どれだけ読めるか。