晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「宮沢賢治のオノマトペ集」

 ひょんなことから、宮沢賢治を読む機会があった。わざわざ本を購入しないまでも、教科書で作品が紹介されているので、宮沢賢治に全く触れずに大人になるというのは難しいはずである。短い作品を2、3つ読んで数日して、ふと書店をのぞいてみると、この本があった。オノマトペに特化した本まであるのか。さすが宮沢賢治だ。宮沢作品の中で、ところどころで頭に刻み込まれるのがオノマトペである。

宮沢賢治のオノマトペ集 (ちくま文庫)

宮沢賢治のオノマトペ集 (ちくま文庫)

  • 作者:宮沢 賢治
  • 発売日: 2014/12/10
  • メディア: 文庫
 

  オノマトペは、いわゆる擬声語や擬態語。フランス語源だがもはや日本語になっていると言えるだろう。英語では、onomatopoeia と綴る。英語だと、目をそむけたくなる。

 この本は、賢治作品に出てきたオノマトペを、気象、水、光や、歩く、笑う、泣くなどと章立てしてジャンル別に紹介している。例えば、静かな様子の「シイン」なら、尾崎仁美さんがそのオノマトペをイメージして、少しかすれたような字で「シイン」と書く。そして、それを含んだ賢治作品の一文と作品名が示され、簡単な解説が添えられる、といった調子でページが進む。

 「銀河鉄道の夜」で天の川が流れる様子の「しらしら」。「二十六夜」で、山から煙が出る様子の「ばりばりばり」。「風の又三郎」で有名な「どっどどどどうど」……。個人的には、「シグナルとシグナレス」の月が山に入る「カブン」。どのような様子だったのだろうか、ややスピードに乗った感じで月が山の中に入っていったのか。月が沈む様子で、カ行の表現がでてくるのはどうしてなんだろう(笑)。

 しかし、このようにオノマトペから宮沢賢治をとらえてみるのもおもしろい。他にもこんな本がある。

賢治オノマトペの謎を解く

賢治オノマトペの謎を解く

  • 作者:田守 育啓
  • 発売日: 2010/09/01
  • メディア: 単行本