晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「ユタと不思議な仲間たち」

 神奈川近代文学館三浦哲郎展」を見て、その場で買った本。展示を見なければ読まなかったであろう。近代文学館の友の会に入ったので、展示は無料。名前くらいは知っていたが、これまでは縁のない作家だった。展示で「ユタと不思議な仲間たち」がこの作家の作品だと知った。このタイトルは聞いたことがある。そうそう、劇団四季だ。

  事故で父親を失った勇太が、これまで住んでいた東京を離れて母の実家のある、東北の湯ノ花村に移住する。周りになじめない勇太。ひょんなことから、古い家に現れる座敷わらしの存在を知る。座敷わらしたちは何世紀も生きている(との言い方はおかしいけど)。口減らしで死んだ子たちがさまよって現れるらしい。それぞれ飢饉の時に亡くなって座敷わらしになった。例によって、子どもじゃないと彼らの姿は見られない。

 勇太は彼らの力を借りるような形で、地元の子どもとの壁を壊していく――。ユタ(勇太)やペドロが登場するので、キリスト教がらみかと思ったが、ユタはユダではなく、あくまで勇太だった(作中で、「ユタ・ユダ」に触れる部分がある)。

 いまやもっぱらディズニーなど洋物が多い劇団四季だが、1970年代はこのような作品を舞台化していた。東日本大震災の後、東北の子ども向けに再演されていたことは知らなかった。

 子ども向けの作品だが、たまにこういうの読むと心が洗われる。