晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「読書は格闘技」

 タイトルにつられて読んだ。帯には「必ずしも読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はないとも私は考えている」とある。読書がいわば「遅効性」であるのは、ガイドブックとかマニュアルなどは別として、認めるほかない。読んで明日からの人生が変わると思ったりするほどロマンティストでもないし、持続するほど辛抱強くもない。

 著者の瀧本哲史さんは若くして他界されているが、肩書には「エンジェル投資家」「経営コンサルタント」とある。経済に疎いので備忘録として書いておくが、エンジェル投資家とは、創業間もない企業を応援する投資家のようである。投資家というと、ダークなイメージを持っていたが、そうでない人もいるのね。当たり前か。瀧本さんの別な本を読んでみたが、若者たちに行動を促す人だったらしい。年齢的に彼の対象外だが、姿勢は好きである。

  この本の面白いところは、二つの本を比較しながら、論を進めるところ。ビジネスマンが読むような本はほぼ読まないので、かなり新鮮な気持ちで読めた。カーネギーとかドラッカーとかまったく興味がなかったが、そういうことが書いてあるのね、というがわかっただけでもかなり収穫である。

 例えば、「君主論」と「ビジョナリー・カンパニー」、「文明の衝突」と「フラット化する世界」とか。「一九八四年」と「ニュー・アトランティス」はかなり面白かった。個人的には、Round 9 以降(12まで)が自分の趣味に合うので、大いに参考にさせてもらった。トーマス・マンの「ヴィルヘイム・マイスターの修業時代」なんか積読のままだが、これを読んじゃうと優先順位が相当アップした。勝手ながら、投資を職としていると合理的なことや即効性のあることを優先するようなイメージを持っていたが、彼はまったく違うようである。続けて「2020年6月30日にまたここで会おう」を読んでしまった。その前年に亡くなってしまったのは本当に残念だが(コロナで「会えなかった」可能性も高いが)、それはまた後日。