晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「パタゴニア」

 南極探検の本を読み、そこからやや北上してパタゴニアの本を読んだ。このような冒険物とか紀行物はハマる。コロナ禍の影響からもしれないが、外への意識が強まっているようだ。椎名誠パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り」を読んだ。パタゴニアという名前はアウトドア用品のメーカーでご存じだろうが、地名としては南緯40度あたりにある川から、南米大陸の先端までを指すとのこと。

 この本は冒険物ではあるけれど、純愛物の側面もある。椎名さんがパタゴニアに発つ前に、奥さんが気持ちの病にかかってしまう。出発間際にトランクに入ったタンポポ。それは奥さんが入れたものだった。「日本に戻った時には妻はいないかも」。そんな気持ちで椎名さんが道中を過ごしたようだ。

 パタゴニアはかなり広いエリアを指すが、椎名さんが向かったのは南極に近いところだ。番組を作るらしいテレビクルーと南米大陸の下の方まで向かっていく。チリ軍の協力も得て、なかなか一般人が行けない(まあ、普通は寒くていけないが)ところまで入り込んだようだ。

 氷河やクレバス、岩から湧き出る滝と、自然の力を見せつけられる。椎名さんはそれらに向かっていくというよりは受け止めているという風でもある。もちろん抗って勝てる相手ではない。

 マゼラン海峡ドレーク海峡ダーウィン山脈など、この地に到達した人の名前を冠した地名がやたらと出てくる。しょうがないかもしれないが、少し抵抗感が生じる。椎名さんのせいじゃない。スカンクが発する臭いがイメージできたのが収穫か。こういうディテールが面白い。

 たぶん一生忘れないのは一点。アルゼンチン側は羊を丸焼きするが、チリ側は、開いて焼くそうである。本ではそう書いてあるが、先住民族による違いなのか、国民性なのかはわからない。でも、ここはどうしてなのだろうと感じいってしまった。個人的には、「開き派」である。