晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「わたしたちの登る丘」

 バイデン米大統領の就任式で詠まれたアマンダ・ゴーマンの詩が文庫になった。オリジナルの本を購入を考えていたので、原文と訳詩(鴻巣友季子さんによる)が収録されたのが本になったのは嬉しい。この詩が収録された「文学界」は立ち読みしたのだが、このくらいのボリュームだと本にするのは難しいと思っていた。100ページ未満で720円(本体価格)という設定には強気だなと思ってしまうが、(いささか古い表現だが)財布の紐が緩む値段ではある。

 就任式の当時で22歳ということを考えると「国家を詠う」には、いささか若すぎる気がしたが、トランプ前大統領がもたらした分裂を乗り越えて(名前は出していないが、その含みはあると思う)、さらなる団結を求める堂々たる詩になっていると思った。

 日本語の詩でもすっと頭に入ってこないところもあることを考えると、英語ならなおさらだが、そこらは鴻巣さんの解説の力を借りればいいかと思う。暗から明へ、過去から未来へ、悲嘆から希望へ、ネガティブからポジティブへと構成されているという。ここらは字面だけでもわかるのはわかるのだが、そこからかつ咀嚼できるレベルに達していない自分の英語力のなさが歯がゆい。英語はなかなか自分の中に入ってこない。

 せっかくだから引用したい気もするのだが、この詩自体が、気合をいれれば全文掲載も可能な量だからやめておく。いずれ英語の教科書に載ることもあるのではと思っている。

 彼女の詩集「Call Us What We Carry」が、この詩と一緒で、文藝春秋から刊行予定だという。この本も、多少は高くついていいので、原文を掲載していただきたいものである。