晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「ジェットコースターにもほどがある」

 何で、こんな本を買っているのだろう。書棚を整理していて意外な本をみつけると、ふと思ってしまう。宮田珠己「ジェットコースターにもほどがある」。自分はジェットコースターには乗らない。むしろ避けてきたくらいだ。最後に乗ったのは10年ほど前か。乗りたがる子どもの保護者として一緒に乗る必要があった。ずっと目をつむっていたので、保護者の役割は果たせなかったと言っていい。料金は大人の方が高いのに…。

 そうだ思い出してきた。宮田珠己さんの本が読みたかったのだ。実際体験したことを面白おかしく書く「エンタメノンフ」(エンターテインメント・ノンフィクション)の高野秀行さんが好きなのだが、ほかにも面白い人がいるはずだと狙っていたのが、宮田さんだった。本を手に入れたところで満足していたらしく、長いこと積読となっていたのだ(このパターンがあまりに多い)。親本の刊行が2002年。加筆して文庫になったのが2011年。いささか古いが読んでみよう。

 思った通り、読みやすい文体でどんどん惹きつけられる。飲み屋のカウンターで話が上手な人が横に座ったみたいだ。高野さんよりは若干無駄口が多いような気がする。まあ、いいだろう。

 宮田さんは大のジェットコースター好き。30代後半ともなると、このテーマで語りあえる人も少なくなってきた。ジェットコースターの面白さを伝えたいということで、国内外のマシンに乗ってくるという話である。正直、共感を覚えることがないテーマながら、読了したのはやはり宮田さんの筆力なんだと思う。

 しかしまあ、ジェットコースターとひとくくりにしていたが、その種類はいろいろあるんだなというのがわかった。歌舞伎なども初日、中日、千秋楽と分けてみる人がいるらしいが、車両の位置を変えて楽しんだりもするらしい。わかるようなわからないような気持である。

 日本はどこか子どもの乗り物のような位置づけになっているが、米国では大人も楽しむものになっているという。米国のコースターは大人向けというわけではないのだろうが、娯楽のとらえ方が、どうも日本は子ども向けになっていて、大人が楽しむという点に少しばかり罪悪感はあるのではと書いてある。そうかもしれない。

 巻末のマニアたちのよる座談会は、日本語で書いてあるのに外国語で書かれているような感じでどうも頭に入ってこない。いろいろな人がいるものだと感心させられた。