晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心にお出かけもあり。銭湯通いにはまっています

「「不思議の国のアリス」を英語で読む」

 アスク出版が出した「ヘミングウェイで学ぶ英文法」が火付け役だったと想像するが、近年、英語の原書をテキストにして英文法を学ぶ学習書が多い。アスク出版は、その後、オー・ヘンリーシートン、ホームズ(作家はコナン・ドイル)などと続けているし、文藝春秋が出した、阿部公彦「英文法教授が教えたがる名作の英語」もその流れにある。もともとは、DHCが出した行方昭夫・東大名誉教授によるモーム関連の読解本が元だという話もある。この別宮貞徳「「不思議の国のアリス」を英語で読む」も、コンセプト的には、アスク出版の「○○で学ぶ英文法」シリーズを先取りしていたと言えるのではないか。全文ではないがところどころをつまんで、解釈やら文法項目を説明してくれる。別宮さんなので、すでに世に出ている翻訳に対する注文が多いようだ。元の本は1985年、PHP研究所から出ている。

 自分のような人が多いと思うが、話の筋は知っているけど読み通したことのない作品の一つ。これを読んで作品を読了したとは言えないが、別宮さんによる解説や解釈もあり、概略はつかめる。別宮さんによると、この本が出ている時点の邦訳本のほとんどできちんと訳されていない部分があるという(大筋には影響なし)。

 子ども向けの本なので原書でもそんなに難しくないと思いきや、言葉遊びはあるし、ルイスは子どもなので言い間違いや正しくない言葉使いもするのである。自分なら、言い間違いの部分は「こんな言い方もあるに違いない」と、原文に解釈をすり寄せるようなことをするだろう。

 大意はとらえられるが、原文の微妙な部分、そして小さく笑わせたりする部分などをキャッチできる能力がない。仕事で時折英語を使う程度だが、マスターとは言わないまでも、原文を楽しむには先は長いと実感させられた。ノンフィクションならともかく、文芸ものは難しい。ボケ防止をかねて、今年の目標として、月に一冊はオリジナルを読むと決めたが、小説は避けた方がいいかもしれない。