4月2日は「世界自閉症啓発デー」だそうである。この日から1週間は「発達障害啓発週間」だ。正直、自分に子どもができるまではそんなに関心がなかった。この本によると、自閉スペクトラム症と診断される人は、1970年代は1万人に1人だったのが、いまや、59人に1人だそうである(2018年の数字。米国)。確かに自分の周りでも増えた気はするが、そのような症状を表す言葉ができたことによってカウントされる人が増えたと理解していた部分があった。でも、そうではないらしい。
岡田尊司「発達障害「グレーゾーン」」(SB新書)を買いに行ったのだが、ベースの理解が足りないので、同じ筆者の本書を手に取った次第だ。この精神科医の岡田さんには、ほかにも「ストレスと障害」「社交不安障害」などメンタルに関する数多くの著書がある。
そもそも「自閉スペクトラム症」は、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などと呼ばれていたものを2013年に一つにまとめた名称。コミュニケーションが苦手だったり、自分のやり方やルールにこだわりすぎたり…、自分にも当てはまる部分がある気がしてくる。
遺伝要因が8割とされていたが、ここ数十年で有病率が上がっており、遺伝にすべての要因を求めることには疑問符がついているという。率は先進国ほど高く、近代的な生活と結びついている可能性が高いようだ。例えば、薬物、晩婚化、分娩時のトラブル、虐待などの養育的な要因、情報環境などの影響の可能性があるという。遺伝要因に環境の要因が重なるという可能性だってある。環境が遺伝子に影響を及ぼすとも考えられるらしい。となると、一種の現代病といえる部分もあるのか。
トレーニングなどで回復した例も紹介されている。ここらは一種の希望とも言えるかもしれない。わかったような、まだわからないような。もう少し、この手の本を読んでみたい。