晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「ハドソン川の奇跡」

 試写会の上映開始前に「SNSなどで拡散をお願いします」と言っていたので(そう聞こえた)、感想などを書かせてもらう。クリント・イーストウッド監督が、2009年1月に起きたUSエアウェイズ1549便の航空機事故からの生還劇を映画化。主人公の〝サリー〟(本作の原題でもある)こと、パイロットのチェスリー・サレンバーガー役にトム・ハンクス。そして、副機長役にアーロン・エッカート。生還劇そのものはまだ記憶に新しいところだが、同監督がフォーカスしたのは、不時着水からの生還後だ。バードストライクによる両方のエンジンが停止後、離陸した空港や最寄りの空港に行かずハドソン川に不時着水することを選んだことを疑問視され(両方のエンジン停止そのものも)、サリーと副機長ジェフは国家運輸安全委員会に呼び出されることになる。つまり判断ミスで乗客を危険にさらした、と追及されることになったのだ。

 世間で英雄視されながらも、一部マスコミは追及が始まったことを流し始める。調査の俎上にあげられたサリーは苦しむ。調査の内容はもちろんのこと、「クロ」と判断されて職を失うと家を手放さなければいけない――。その一連の事故と苦悶を96分間にコンパクトにまとめた。物足りないという感覚というよりは、あっという間に時間が過ぎた感がある。

 クリント・イーストウッド監督は実話の再現にこだわったようだ。エンドロールの役名には「Himself」の表記が目立った。つまり、乗客や救護に当たった人間は事故に携わった(恐怖を味わった)本人に演じてもらった。今はないUSエアウェイズだが、制服や乗客の服装も、当時のものの再現に腐心したようだ。

 副機長が締める本作の最後のセリフがしゃれている。「笑点」流だと「山田君、座布団一枚!」という感じ。ぜひ映画館で確認してほしい。