晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

2021-01-01から1年間の記事一覧

「暗黒日記 1942ー1945」

ここ数年、戦争を体験している人たちが「戦時中と雰囲気が似てきた」と口にすることが多くなったように思える。とはいえ直接聞いたわけではなく、メディアを通してなのだが。戦争中の話を多少は親を通じて聞けた世代だが、こちらも子どもだったので、「大変…

「駆け込み寺の男 玄秀盛」

懐具合が寂しくなってくると、古本屋に足を運ぶ数が増える。結構サイクルが早くて、数カ月前に刊行されたばかりの本が見つかることもある(まだ高値だが)。そんなときに見つけたのが、この本である。この人はテレビで見たことあるな、と。ただ、それだけじ…

「バッチリ身につく 英語の学び方」

来年は、遅ればせながら英語をもう集中して勉強してみようと思っている。同時に、何をいまさらという気もしているのだが、今年が英語本の当たり年と言われ、刊行された本に直接的・間接的に刺激を受けているのが大きいと思う。仕事で英語で触れることも多い…

「フィンランド語は猫の言葉」

フィンランドと言われて思い浮かぶのは、まずサウナ。今はブームだそうだが、もっと長いスパンでのファンである。よくサウナに泊まった記憶がある。それと、サッカー選手のリトマネン。結構好きなタイプの選手だった。あとは、ムーミン、ノキア、シベリウス…

「名訳と誤訳」

古い本である。刊行は1989年。著者の中村保男さんは10年以上も前に亡くなっている。古本屋で見つけて、ついつい買ってしまった本だ。なんせ、Time flies like an arrow を電算機が「時間蠅は矢を好む」と訳したなんて書いてある。現在、便利な自動翻訳…

「詩人の旅 増補新版」

全集未収録なので、読んでみた。簡単に言ってしまえば、田村隆一はどこに向かおうが田村隆一である。読んだ感想としては、それを再確認したに過ぎない。帯にも〈ニホン酔夢行〉と書いてあるが、読み進めて頭に浮かんだのは、やはり「インド酔夢行」だ。目的…

「中・高校生のための狂言入門」

ここ数年、横浜能楽堂では毎月第2日曜日を「狂言の日」として、気軽な値段(2200円)で楽しめる公演を提供している。ここのところは、10月、11月と続けて楽しませてもらっている。9月はコロナ禍で席数が制限されていて席を取り損ねたが(動き出し…

「14歳からの哲学 考えるための教科書」

ふとしたきっかけで、「14歳からの哲学」を買った。池田晶子さんという存在は、ずっと気になっていた。著者がすでに故人であるのに、新聞の広告に彼女の本が載ることがある。調べてみると結構多作である。写真をみると、なかなかの目力である。ある本を買…

「遊郭と日本人」

薄い本だが、盛りだくさんの内容だった。落語などを通じて江戸風俗に興味があるものにとってはたまらない一冊で、とても勉強になった。もちろん、著者の田中優子さんが書いているのように、「遊郭は二度とこの世に出現すべきでない」場であることを踏まえた…

「なんで英語、勉強すんの?」

自分の子どもが英語を勉強したがらないわけじゃないのだが、小学校からの英語も科目化(小5、6)しているし、ちょっと読んでみた。この岩波書店のジュニアスタートブックスの対象は中学生のようだ。このシリーズはこれまで SDGs などをテーマにしている。…

横浜マラソン2021にオンライン参加

根岸競馬場の一等馬見所跡。ここで一休み 今年の横浜マラソンは参加費が2万円超えだったので、エントリーを取りやめたが、その後にオンラインに切り替えられて、参加費が5千円になったので急遽参加することにした。Tシャツと完走メダル付き。高いか安いか…

「物語を忘れた外国語」

黒田龍之介さんの本を読んだ。この人のいいところは、外国語を学ぶって単純に楽しいと思わせるところだ。きっちり学ぶとなると、しっかりした勉強が必要だろうと思うのだけど、つまみ食い程度の楽しさもあることを教えてくれる気がする。でも、この人はロシ…

「猫は知っていた 仁木兄妹の事件簿」

書店の棚に目に留まったのが、この本。仁木悦子さんの江戸川乱歩賞受賞作だ。たぶん、子どもの頃に一度読んだと思うが、忘却力に磨きがかかっているので新作のように読めた。1957年発表の本なので、言葉遣いが懐かしい。「上手」よりも「達者」、「レン…

「春原さんのリコーダー」

短歌集や俳句集を読みたくなることがある。なんか言葉の感性が鈍くなったなあと思う時(まあ、鈍いのだが)、長行を読むのがきつい時、別の視点で言えば、短くてもいいからグサッと刺さる言葉に触れたい時などに多い気がする。季節の変わり目にも、このよう…

第16回湘南国際マラソンにエントリー

来年に2月に予定されている湘南国際マラソンにエントリーした。横浜マラソンは参加費の高騰で簡単にあきらめたが(中止後、オンライン開催に移行)、湘南国際には少しばかり逡巡した末に参加することにした。大会2週間前までに2度のワクチン接種と、本番…

「かぼちゃを塩で煮る」

いままで表紙買いはあったが(特に単行本で)、タイトル買いは初めてかもしれない。本のタイトルだって表紙に書かれているのだから、これも表紙買いの一種ととれるか。ふと寄った書店で、予定になかった本を購入してしまうことはそれなりにあることなのだが…

「夜と霧」(新版)

いまさらだが長らく読み継がれてきた本を読んだ。自分の書棚にもずいぶんと長い間埋もれていた。ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」。霜山徳爾さんが訳した旧版もどこかにあったはずだが、目に入った池田香代子さんの訳で読んだ。内容に入る前に新旧版の…

「新聞記者、本屋になる」

毎日新聞の論説委員まで務めていた人が書店を開業していたそうだ。新聞記者はつぶしの効かない職業とは聞くが、海外特派員とか話題の本の著者など多少箔がある人は大学に呼ばれて、その専門分野やジャーナリズム論などを教える立場になることが多い。現役時…

「英語の名句・名言」

英語物が続く。古書店で買ったもう一冊がこの本。正直言うと、思惑は少し外れたのだが、これはこれで面白いと思った。110円のもとは十分にとれたし、本の状態もいい。ピーター・ミルワードさんは2017年に亡くなっている。訳者の別宮貞徳さんはまだ存命の…

「英語で読み解く賢治の世界」

古本屋で本を二冊買った。家から一番近い書店が古書店になってしまってからしばらく経つ。意外と入れ替わりがあって、つい足を止めてしまうことがある。特に新書は数十冊単位で入るようだ。で、買ったのが、ロジャー・パルバース「英語で読み解く賢治の世界…

「英語バカのすすめ」

横山雅彦さんという存在は知らなかった。現在は、関西国際大学の准教授だが、予備校や英会話学校で教えてきた人だ。横山さんがどのように英語と出会い、学んでいったのか。副題に「私はこうして英語を学んだ」とあるが、近年やたらと唱えられている英語4技…

「センス・オブ・ワンダー」

レイチェル・カーソンの遺作「センス・オブ・ワンダー」が文庫になった。以前、単行本を買おうと思っていた時期もあったので迷わず購入した。カーソンと言えば、殺虫剤や農薬に使われたDDTの危険性を訴えた「沈黙の春」が有名。今なら、「環境問題」というワ…

「新版 窓のある書店から」

勝手に柳美里という作家を誤解していたようで、この本を読んで、これまた勝手に見直すことになった。彼女の本は、戯曲「魚の祭」をはじめとして小説も4、5冊は読んでいるはずだが、それでも偏狭な読書体験しかもたない作家だと思い込んでいたのだ。自分の…

「ナショナリズムを陶冶する ドイツから日本への問い」

本来はニュートラルな意味なはずの「ナショナリズム」だが、近年は「偏狭な」などの枕詞を伴ってネガティブな場面で使われることが多くなってきたように思われる。排外的な輩たちの主張が目立ってきたせいでもあるのだろう。そもそもはナチズムの根源のよう…

「2020年6月30日にまたここで会おう」

刺激的なタイトルだが、事情を知らない人には「?」以外何物でもない。実際、自分も「6月30日って何かあった?」と思っていたくらいだ。しかも、この本が出たときにはコロナ禍だったので、「こんな時期に集まったら、密じゃん」と頓珍漢なことも考えてい…

「科学者は戦争で何をしたか」

2008年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんが81歳で亡くなった。歯に衣着せぬというか、思ったことを率直に口に出す気持ちのいいおじいちゃんという印象を持っていた。戦争はダメとしっかりと主張してくれる戦争体験者が一人、また一人と去っていくの…

「星野道夫 約束の川」

平凡社が出している「STANDARD BOOKS」シリーズが気に入っている。当初は、寺田寅彦や中谷宇吉郎などと理系の名文家をそろえていたが、だんだんとジャンルが広がってきた気がする。いまは第4期で松田道雄さんと星野道夫さん。今後、河合隼雄さんや吉阪隆正…

「大岡信 架橋する詩人」

詩作をするほどではないが、詩をよむのは好きな方だ。谷川俊太郎、田村隆一、茨木のり子、西脇順三郎、鮎川信夫に、最近ハマった草野心平などなど。これらの詩人の名を聞くと、代表作のタイトルや詩の一片くらいは浮かんでくる。ところが、大岡信となると、…

「古くてあたらしい仕事」

続けて「ひとり出版社」がらみの本を読んだ。夏葉社というさわやかな名前の出版社を営んでいる島田潤一郎さんの、立ち上げから10年を書いた本となっている。2019年の初版発行から、自分が手にしているのは7刷。これまで自分のアンテナには引っ掛からなか…

「“ひとり出版社”という働きかた」

小さな出版社の存在が増しているのは、気が付いていた。ミシマ社の本は、よく寄る書店にも結構目立つ位置に置いてある。「え、こんな値段なの」と思うときもあるが、小さな出版社を維持するためと思って財布のひもを緩めることもある。その昔は取次を通さな…