晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

2020-01-01から1年間の記事一覧

「ぼくの鎌倉散歩」

好きな詩人と言われて、頭に浮かぶのは田村隆一さんである。鎌倉には1970年から1998年に亡くなるまで住んでいた。自分が日雇いのバイトで得た金を握りしめて、鎌倉に行き始めたのは1980年代の半ば。残念ながら本人に会ったことはないが、気張る…

「私的読食録」

「dancyu」に掲載された、角田光代さんと堀江敏幸さんが、「食」にちなんだ小説やエッセイ(漫画もあった)を紹介する連載が一つの本となり、その後、文庫化された。二人が交互に担当。100冊分(100食分?)が収録されている。近年、あまり「dancyu」…

「ナポリのマラドーナ」

長い間の積読だったが、マラドーナが亡くなったの機に読んでみた。心臓疾患などがあるので長生きはしないと思っていたが、こんなに早く亡くなるとは。サッカー少年だった一人として冥福を祈りたい。コロナウイルスが理由ではないと聞いているが、医療体制な…

「戦後短篇小説再発見10 表現の冒険」

講談社文芸文庫が2000年ころに出した、短篇集のアンソロジー。「表現の冒険」は一風変わった小説で編まれている。この10番目の本で完結だったはずだが、好評だったせいか、その後も続いた。中古本を売る時に見つけて、面白そうだから読んでみた。 度合…

「本屋がアジアをつなぐ」

石橋毅史さんという人は出版ジャーナリストで、書店に関する本を数冊出しているらしい。著書は、韓国や台湾でも翻訳されている様子。ちなみに、石橋さんは「書店」と「本屋」を区別しているらしく、前者は書籍・雑誌の小売店、後者は書籍・雑誌を売ることを…

「JR上野駅公園口」

全米図書賞というものがこれほど影響力があるとは思わなかった。翻訳部門で受賞した、柳美里「JR上野駅公園口」(英訳:モーガン・ジャイルズ)が一時的に入手困難になり、購入までに時間がかかった。こんなに注目されるようになったのは、多和田葉子「献灯…

湘南国際マラソン中止

12月10日は湘南国際マラソンの開催の可否が決定する日だった。コロナ禍の感染者や医療体制などを考えると中止はしょうがないかなと思っていたが、やはり中止だった。開催しても25キロというのは前もって知らされていたが、やはり走る機会を奪われるのはき…

「あひる」

今村夏子「あひる」を読んだ。彼女の場合、話の筋の書いたって作品の紹介にはならない気がしている。どうしたものか。なんか「ズレ」があるようなのだが、それをうまく伝えることができない。「ズレ」という言葉が正しいかどうかもわからない。「ツボの違い…

「歌集 滑走路」

映画「滑走路」の予告編を見て、読んでみようかと思った。 朝日新聞の読者だし、短歌は詠まないものの「朝日歌壇」はよく目を通しているはずだ。しかし彼の存在には気づかなかった。萩原慎一郎さんの初めて歌集で、かつ遺作となった「歌集 滑走路」。一読し…

「同調圧力」

「自粛警察」「正義中毒」やら新型コロナウイルスの影響で生まれてきたり、よく耳にするようになったりする言葉が増えた。でも周りになんか監視されているような風潮は、いまに始まったわけじゃない。程度の違いはあれ、戦時もそうだったろうし、東日本大震…

「非色」

新型コロナウイルスは2020年を象徴する出来事であろう。できれば、来年には終息とはいかないまでも収束の方向に向かってほしいものだ。「終息」となるとそれなりの定義があって、数年かかることになる。今年は、Black Lives Matter が声高く叫ばれた年でもあ…

「いで湯暮らし」

コロナ禍の中だが、大船に足を運ぶ数は少しずつ増えてきた。となると、寄ってみたいのはポルベニールブックストア。入ったからには1冊は買って帰りたいと思っている。しかしながら、困ったことに自分と趣味が近いのである。予算がさほどあるわけでもない。…

「辺境メシ」

好きな作家の高野秀行さんの本がまた文庫になった。いろんな「秘境」を旅してきた高野さんが、食をテーマにこれまで食べてきた「珍食」「奇食」を集めた本。副題の「ヤバそうだから食べてみた」の通り、なかなか強烈なものがある。本人の旅だけではなく、妻…

「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」

あまりこういう本は読まないのだが、知人が貸してくれたので急いで読んだ。飲んだ勢いで、定年後に翻訳で小遣いくらい稼げたらいいなと話したことがあったのかもしれない。仕事上、自分で簡単な翻訳をすることはまれにあるし、他人の翻訳をチェックすること…

「寿町のひとびと」

日本の3大ドヤ街の一つと呼ばれる、横浜の寿町。他に、東京の山谷や大阪の西成「あいりん地区」と並ぶ存在ということになっているが、身近な街だけに怖いという印象はもはやない(昔は多少あった)。とはいえ、知らないせいか山谷や西成と聞くと構えてしま…

湘南国際マラソンは25キロに

来年の2月28日に予定されている湘南国際マラソンは、フルマラソンから25キロレースに変更となった。当初、レースそのものの開催可否を12月10日に判断するタイミングに併せて、コロナの状況に応じて、スタート時間の幅を調整しながら距離を設定する…

「千年の祈り」

ずいぶん前に買った本を突然読みだした(積読型の人間なので、よくあること)。たぶん数日前に古本屋にあったイーユン・リー「さすらう者たち」を買うかどうか迷った時に、「家にある本を読むのが先だろ」の声が頭の中に聞こえてきたからだ。ありがたいこと…

「HAMARU」と「STORY STORY YOKOHAMA」

8月と10月に、桜木町駅近くにブックカフェがオープンした。もはや書店のみじゃ勝負にならないのだなという落胆もあるが、カフェ併設であろうが本を置いている場所が出来たのは歓迎している。当初から決まっていたとはいえ、紀伊國屋書店が、駅前のコレッ…

「銀河の片隅で科学夜話」

「明晰でわかりやすく、面白くて抒情的」と太めの帯には、大森望さんの紹介が書いてある。確かに、著者の全卓樹(ぜん・たくじゅ)さんの文章はかなりロマンティックで、こんなように科学の事を咀嚼して話せればカッコいいなと思う。しかし、なかなかこちら…

「孤塁 双葉郡消防士たちの3・11」

東日本大震災で甚大な被害を受けたのは、主に東北の太平洋側の3県。地震そのものが原因だが、宮城と岩手が津波、福島が原発事故による放射能汚染について語られる。津波の目に見える恐怖に対して、放射能は目には見えない。避難すべき住人たちの動きもどこ…

「アレックスと私」

英語の悪口で、bird brain という表現がある。「馬鹿」とか「あほ」に値する言葉なのだが、pea brain という言い方と同様に、要は脳みそが小さいとそれだけ頭も悪いだろうという解釈から生じた言葉らしい。非常にシンプルな悪口である。 とはいえ、オウムは…

映画「ヨコハマメリー」

順番は映画が先なんだろうけど、監督である中村高寛「ヨコハマメリー 白塗りの老娼はどこへいったのか」を読んだので、映画も見に行った。本の文庫化をきっかけに、横浜シネマリン、シネマ・ジャック&ベティでリレー上映が始まった。平日を狙っていったが、…

「未来のサイズ」

俵万智の第6歌集。「サラダ記念日」が1987年だったことを考えると、このペースがよく歌集を出している人のか、そうでないのか、自分にはわからない。エッセイや短歌の教本みたいな形で露出が多い人なので、そんなに間が空いた気もしない。第5歌集の「オレ…

「英語日記 BOY」

英語の参考書ではない、英語関連本が売れているらしい。近年で言うと、清水建二先生の「語源図鑑」がやたら売れているが、あれは別格。英語学習書というのは、いろんなところから出版されていて、小さい出版社だと書店の棚に入れてもらうのも一苦労だそうだ…

「盤上の向日葵」

初の柚月裕子体験である。中公文庫で上巻700円、下巻680円(いずれも税別)とは結構強気な値段設定と見た。この「盤上の向日葵」がそれだけ売れると踏んでいるという事かと思う。すでに評価の高い作家だけど、これまでは縁がなく、柚木麻子さんと混同してい…

「白い病」

新型コロナウイルスの影響で、カミュ「ペスト」がまた注目され、デフォーの「ペスト」も店頭に並び始めた。サラマーゴ「白い闇」なんてのも出ている。ついつい買ってしまったが、川端裕人「エピデミック」も重版されていた。その他小説以外にも、感染やウイ…

「父のおともで文楽へ」

小学館文庫の棚はあまり見ないが、桜木町駅のBook Expressでは入口すぐに新刊文庫として並んであった。著者の伊多波碧さんについては知らなかったし、過去作品を読んだことはない。コロナ禍で文楽はご無沙汰だし、逆に娘をいつか連れていきたいと思っている…

「こちらあみ子」

今村夏子「こちらあみ子」を読んだ。少し前に映画化された「星の子」を読んだ時には、この作家への向き合い方を間違ったまま(正解なんてわからないが)、読んでしまった気がしていたので仕切り直しという気持ちもある。というか、たぶん単純に話を筋を追う…

「指揮者の役割」

どうもわからない仕事の一つが、オーケストラの指揮者。ここのところ、クラシック系の本はよく読むのだが、何かビシッとはまらない。それなりにリハーサルをして、曲の解釈を団員にしっかり伝えていれば、コンサートの本番にはいらない気がする。となると、…

第15回湘南国際マラソンにエントリー

長い戦いだった。長期戦は覚悟していたのだが、想像以上だった。マラソン大会のエントリーに、マラソン以上の時間を費やすとは。19日午後8時から湘南国際マラソン一般枠のエントリー。晩酌をおよそ45分前に切り上げて、5分前にはPCの前に座っていたが…