晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「“ひとり出版社”という働きかた」

小さな出版社の存在が増しているのは、気が付いていた。ミシマ社の本は、よく寄る書店にも結構目立つ位置に置いてある。「え、こんな値段なの」と思うときもあるが、小さな出版社を維持するためと思って財布のひもを緩めることもある。その昔は取次を通さな…

「日本語力と英語力」

日本ほど英語教育で侃々諤々とやっている国はないのではないかと思う。英語に熱心なのは韓国も一緒だが、かの国は英語を学ぶということにあまり異論がない。方法論にはいろんな意見があるかもしれないが、「学ぶべき」「やるなら早期に」ということで一致し…

「ミラクル・クリーク」

米国に住む韓国系作家の本を読むのは、たぶん初めて。韓国系移民を扱った映画「ミナリ」を見たせいなのか、移民の話の部分がややくどく感じたが、小さい時に米国に渡ったアンジー・キムさんにとっても最初の長編作品だし、自身のルーツを交えたパートは織り…

「英文学教授が教えたがる名作の英語」

あまり勉強勉強しているのはかなわないが、これならアリと読んでみた。阿部公彦さんが、6作の古典プラス村上春樹さんの短篇をもとに、作品鑑賞から英文の読解まで楽しませてくれる。いずれも抜粋だが、これ以上あると疲れるのでちょうどいい。「ロビンソン…

「古くて素敵なクラシック・レコードたち」

村上春樹さんの小説には、音楽が登場してくる。ジャズもあればポップスもある。「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」あたりはクラシックも出てくる。小澤征爾さんとの対談もあるし、相当に詳しいのだろう。この本は、村上さんが持っているクラシッ…

「読書は格闘技」

タイトルにつられて読んだ。帯には「必ずしも読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はないとも私は考えている」とある。読書がいわば「遅効性」であるのは、ガイドブックとかマニュアルなどは別として、認めるほかない。読んで明日からの人生が変わると…

「現実脱出論 増補版」

この著者の存在は知らなかった。実は、ニューヨーク・タイムズで坂口恭平さんの記事を読んで知ったのだった。海外メディアが取り上げるほどの日本人なら、ほぼ知っているはず、とその程度のアンテナを立てているつもりだったが、この人は引っ掛かってなかっ…

「Number(ナンバー)」1029号 猛虎新風伝

欧州サッカーや将棋の特集にも気持ちが揺さぶられるのだが、やはり阪神特集はたまらない。Numberを買うのは将棋特集以来だが、前は書店から巡って振られまくったので、今回はコンビニから攻めた。あまりにあっさり買えて、今時、阪神ファンだなんて野卑な存…

「ユタと不思議な仲間たち」

神奈川近代文学館「三浦哲郎展」を見て、その場で買った本。展示を見なければ読まなかったであろう。近代文学館の友の会に入ったので、展示は無料。名前くらいは知っていたが、これまでは縁のない作家だった。展示で「ユタと不思議な仲間たち」がこの作家の…

「コロナ後の世界を生きる」

昨年の7月に出た「コロナ後の世界を生きる 私たちの提言」を今頃読んだ。識者や外国に定住している作家、学者たちに昨年の5月、6月までの現状を踏まえて今後を見通してもらおうという企画だったようだ。37.5度が4日続いてから保健所に連絡するとか、日本…

「志ん生の食卓」

正直、古今亭志ん生の高座は見たことない。1973年に亡くなっているので、見たとしてもテレビだろう。当時は、落語という芸すら認識していなかったと思う。息子の志ん朝はなんとか生で見ている。江戸を体現した華のある落語家だった。父親の方はもっぱらCDで…

「ルポ川崎」

中1男子生徒殺害、通り魔の児童殺傷事件など、川崎というと物騒なイメージがある。自分が横浜に出てきた頃にも、浪人生が金属バットで両親を殺害する事件があった。公害問題のイメージもある。一方で、人権啓発などで他をリードしている自治体というイメー…

「日本ミステリー小説史 黒岩涙香から松本清張へ」

日本はミステリー大国だそうだ。他に読める言語が英語と韓国語しかないので、よその国の充実度はわからないけど、たぶん間違っていないと思う。ミステリ―は欧米から入ってきたものだが、翻訳や翻案の過程で独自の広がりを見せた。家にいる時間が長くなり、二…

「カディスの赤い星」

いまごろなんだが、古本屋で急にこの本に呼ばれた気がした。30年ほど前に友人から薦められた記憶があったが、当時は趣味じゃないと思ってやり過ごしていた。ここ10年くらいはクラシックギターのCDもよく買うようになったし、家にいる時間が長いせいかラ…

「ケーキの切れない非行少年たち」

ベストセラーと呼ばれる本に食指が動くことはあまりないのだが、「ブックオフ」でもう一冊くらいは(予算的に)買えるかな、と思っていた時に目についた。タイトルで釣っている気がして何となく避けていたが、読んでみると売れた理由がわかった気がした。漫…

「四十一番の少年」

帯に、「十二人の手紙」の次に読みたい衝撃作、と書いてあったので、素直に読んでみた。井上ひさしさん自身が、幼少の頃にカトリック系養護施設に入った経験がある。その意味では、自伝的作品と言えるだろう。作品に登場する「ナザレト・ホーム」では、収容…

「土葬の村」

日本で火葬される割合はほぼ100パーセントだそうである。これまで半世紀ほど生きてきたが、火葬以外で葬られたケースに出くわしたことはない。しかし日本だって昔は土葬だった時代があり、その風習が残っていたっておかしくはない。むしろ火葬が禁止され…

「最速で体が変わる「尻」筋トレ」

ランニングとは直接結びつかないが、大きい筋肉を鍛えるのが減量の近道だということは昔から聞いていたので読んでみた。大きい筋肉と言えば、お尻の筋肉が一番大きい。一番大きいところから対処していくのは、効率的なことではある。本書では、鍛えるとなる…

「十二人の手紙」

駅構内の書店で、井上ひさし「四十一番の少年」を買った。新潮、文春、講談社、角川あたりの文庫は、中公やちくまあたりと比べると割と安価で買えるので、手が伸びることが多い。その本の帯に「『十二人の手紙』の次に読みたい衝撃作」とあった。そういえば…

月間200キロ走ってみた

世の中にはもっともっと走っている人がいるのは知っているが、自分なりに一つの山を越えたような気持ちになったので記しておく。ブログではランニングもメインのテーマだけど、マラソン大会などのイベントが中止になったせいか、内容が本に偏ってしまってい…

「アイデンティティが人を殺す」

刺激的なタイトルだ。やや乱暴なまとめ方をするなら、あまりアイデンティティに拘泥すると(特に、国家や宗教)、紛争につながりかねないという意味か。 もしくは、アイデンティティをコミュニティーや、誰それとの血縁関係レベルまで突き詰めていくと結局は…

「草野心平詩集」

食に関するエッセイ「酒味酒菜」を読んで、草野心平さんの詩集そのものが読みたくなった。岩波文庫で持っていたはずだが、積読の山に隠れて見つからない。ハルキ文庫から、同名の本が出ているのは知っていたので、ダブりは多いだろうが、そちらを買って読む…

「ボクシング日和」

小説は一度も読んだことがないのに、エッセイだけに手が伸びる。購入しているだからいいだろうとは思いつつ、角田光代さんにはちょっと申し訳ない気がしている。映画化されているのはそれとなく内容がわかっているのでなかなか手が出ない。それでいて、どん…

「宮沢賢治のオノマトペ集」

ひょんなことから、宮沢賢治を読む機会があった。わざわざ本を購入しないまでも、教科書で作品が紹介されているので、宮沢賢治に全く触れずに大人になるというのは難しいはずである。短い作品を2、3つ読んで数日して、ふと書店をのぞいてみると、この本が…

「酒味酒菜」

東日本大震災から10年。被災者を家族に持つ者としては、相当の本を扱うべきだとも思ったが、講談社刊「福島第一原発の真実」は大著で読み終えるどころか、まだ手をつけていない。片山夏子「ふくしま原発作業員日誌」は読んでいる最中。で、郷土の詩人の本…

「荒野の古本屋」

帯を見て買ってしまった本。「荒野の古本屋」というタイトルもかなり魅力的だが、著者の森岡督行さんは勝手ながら知らない人。帯を読むと、どうやら銀座で古書店を開くことになった人の話のようだ(と最初は受けとめた)。銀座の古書店?どこだろ? 銀座、新…

「おばちゃんたちのいるところ」

知り合いから面白いという評判を聞いて購入した。いやいや満足しました。途中から、落語をモチーフにした作品があるのは気づいていたけど、17作品すべてが落語のほかに民話などから発想を得ていたとは。収録2篇目は「牡丹柄の灯籠」というタイトルだし、…

「庭」

出だしは普通の話と思えるのに、着地点は予想したところとは別な場所。小説なんてみんなそんなものだろうと言われそうだが、小山田浩子さんの物語はその意味では非常に小説らしい気がする。昔、「工場」を読んだときは、安部公房みたいだなという印象が持っ…

「日本のいちばん長い日」

半藤一利さんが1月12日に亡くなった。さほど熱心な読者ではなかったが、これまで気になる本や記事は読んできた。半藤さんの歴史へのアプローチは信頼できると踏んで、日本の近代史に関しては、かなり「受け売り」をしている。映画にもなっているし、内容も…

「片隅の人たち」

自分の好きな作家や随筆家、詩人には、早川書房と縁があった人が多い。常盤新平さんもその一人だ。「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)」の3代目編集長であり、アーウィン・ショー「夏服を着た女たち」などの翻訳者でもある。手がけた翻訳…