晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「世界はラテン語でできている」

 個人的に、ラテン語=教養。英語のみならず様々な言語の「素」となっているが、日本人の場合は英語を通じてラテン語に源を持つ言葉に触れるという形が一番多いのでは。その意味では、英語学習者が読んでもためになる一冊である。どちらかというと、そのような立ち位置で読んだ。

 その昔、清水建二さんが「英単語の語源図鑑」という本をヒットさせたが、その後追いの語源本も出てきたのも、この本が登場する下地になっている気がしている。ラテン語はさまざまな場所に「入り込んでいる」。著者は、「ラテン語さん」。東京外国語大学で英語を専攻したが、それ以前の高校生の時からラテン語を学んでいたとのこと。当然どなたかはわからないが、結構若い人ではないだろうか(自分基準なので、だいたい若いのだろうけど)。

 「ラテン語と○○」の形式で、「世界史」「政治」「宗教」「科学」「現代」「日本」の6章立て。英語がらみでラテン語の元の部分を知っておくと、漢字である程度言葉の意味が推測できるように、初見の英単語でも、ある程度の意味合いが想像できる可能性が高まる。記憶のとっかかりとしては、このようなラテン語の知識は相当に役に立ちそう。先に書いた「英単語の語源図鑑」もそのようなところにヒットの要因があったとみている(すずきひろしさんのイラストも一役買ったと見ている)。

 あまり考えたことはなかったが、昔の科学の本はラテン語で書かれたものが多かったそうだ。日本でも書き言葉が漢文だった時代があったが、欧州あたりではラテン語で書物を残すことが多かったのだろう。ニュートンコペルニクスラテン語で書いていた。

 星座、惑星、カレンダーの月などもラテン語の流れをくんだ言葉が多い。コロナウイルスの「コロナ」も王冠という意味だ。「カローラ」も小さいながら王冠という意味だそうで、こう考えると、トヨタの車は「クラウン」「コロナ」「カローラ」と「冠」だらけである。もしかしたら「カムリ」も「冠」から来ているのでは。なかなか傲慢なネーミングである。

 社名などもラテン語から取っている名前が多いそうだ。確かに、ラテン語にはどこか「伝統」や「普遍性」みたいのを感じるので、長く付き合う社名などはラテン語から引っ張ってこようということになるのだろう。ついでに言えば、「重厚さ」「気高さ」みたいなものも感じる。個人の感想だが。しかし、アシックス(Asics)が、anima sana in corpore sano「健全な肉体に健全な魂」のそれぞれの単語の頭文字を集めた言葉だったとは知らなかった。

 人に話したくなるような知識が満載。続編を待ちたい。