子どもの頃は「アーメン、そーめん」とかとバカにしていた記憶があるが、英語や世界史(特に西洋)を学ぶと、キリスト教に関する知識は無視できないものになった。それが、ここ15年くらいは、もっと知っておきたい存在になっていた。
たぶん、子どもをカトリック系の幼稚園に送った頃からだと思う。横浜という土地柄なのか、家から一番近い幼稚園はカトリック系だった。二番目も三番目も宗派は違うけど、キリスト教系だったはず。そもそも横浜には自治体運営の幼稚園はなく(たぶん、今もない)、家の位置から考えると、どこかしらのキリスト教系の幼稚園に送るしかなかった(仏教系があったが遠かった)。
せっかく関わりが生じたのだからと、入門書を読んでみたり、信者の人に話を聞く機会を作ってみたりしたのだが、キリスト教への抵抗感はほぼなくなったものの、どうも刺さらないというか、わからない部分が多い。
わからない、なじまない点はいろいろある。まずは聖書か。断片的なエピソードもそうだが、時折出てくる「?」な部分。説明してもらっても、腑に落ちないところがでてきたりする。
NHK出版「学びのきほん」シリーズのこの本だが、これまで読んできた入門書に比べると、わかる部分があるのだ。初めて疎通ができたような気持ちになった。所詮ムックなので、この薄い本ですべてがわかるわけはない。著者の山本芳久さんは初心者向けにテーマを絞りに絞ったと想像する。大きく4つだ。まずは、旧約聖書について。そして、新約聖書について。3番目にアウグスティヌス「告白」、最後に、現在の教皇フランシスコについて。この人が評判がいいのは(少なくとも前任者よりは)、信者に話を聞いても感じ取れる。松岡修造同様に日めくりカレンダーも出ていたはずだ。
山本さんの説明が、ラテン語の語源などから説明されていたり、言葉がやさしかったりととっつきやすい。キリスト教については相変わらず分からない部分は残っているので、雲一つない青空というわけではないが(完全にわかることもないだろう)、もうちょっとすると日が差してくるのではという気持ちになってきた。
山本さんによると、聖書の「?」の部分では、一度立ち止まった方が良いという。
聖書をよむときに ―― もっと言えば、聖書以外の書物を読むときにも ―― おすすめしたい読み方があります。それは、読んでいて何か変だな、と思うことがあった場合、そのまま受け流すのではなく、その奇妙さにすこしこだわってみるという読み方です。
よく分からなかったことが、少し救われた気がしたが、自分一人でその「こころ」を導き出すのは難しいかなとも思った。
個人的には、アウグスティヌスについて書かれているのが参考になった。いずれ読まなければと思っていた本である。宗教と哲学が重なる部分に興味があると言う事もある。巻末の「初学者のための「キリスト教」ブックガイド」を多いに参考にしたい。