晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「新版 窓のある書店から」

勝手に柳美里という作家を誤解していたようで、この本を読んで、これまた勝手に見直すことになった。彼女の本は、戯曲「魚の祭」をはじめとして小説も4、5冊は読んでいるはずだが、それでも偏狭な読書体験しかもたない作家だと思い込んでいたのだ。自分の…

「ナショナリズムを陶冶する ドイツから日本への問い」

本来はニュートラルな意味なはずの「ナショナリズム」だが、近年は「偏狭な」などの枕詞を伴ってネガティブな場面で使われることが多くなってきたように思われる。排外的な輩たちの主張が目立ってきたせいでもあるのだろう。そもそもはナチズムの根源のよう…

「2020年6月30日にまたここで会おう」

刺激的なタイトルだが、事情を知らない人には「?」以外何物でもない。実際、自分も「6月30日って何かあった?」と思っていたくらいだ。しかも、この本が出たときにはコロナ禍だったので、「こんな時期に集まったら、密じゃん」と頓珍漢なことも考えてい…

「科学者は戦争で何をしたか」

2008年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんが81歳で亡くなった。歯に衣着せぬというか、思ったことを率直に口に出す気持ちのいいおじいちゃんという印象を持っていた。戦争はダメとしっかりと主張してくれる戦争体験者が一人、また一人と去っていくの…

「星野道夫 約束の川」

平凡社が出している「STANDARD BOOKS」シリーズが気に入っている。当初は、寺田寅彦や中谷宇吉郎などと理系の名文家をそろえていたが、だんだんとジャンルが広がってきた気がする。いまは第4期で松田道雄さんと星野道夫さん。今後、河合隼雄さんや吉阪隆正…

「大岡信 架橋する詩人」

詩作をするほどではないが、詩をよむのは好きな方だ。谷川俊太郎、田村隆一、茨木のり子、西脇順三郎、鮎川信夫に、最近ハマった草野心平などなど。これらの詩人の名を聞くと、代表作のタイトルや詩の一片くらいは浮かんでくる。ところが、大岡信となると、…

「古くてあたらしい仕事」

続けて「ひとり出版社」がらみの本を読んだ。夏葉社というさわやかな名前の出版社を営んでいる島田潤一郎さんの、立ち上げから10年を書いた本となっている。2019年の初版発行から、自分が手にしているのは7刷。これまで自分のアンテナには引っ掛からなか…