刺激的なタイトルだが、事情を知らない人には「？」以外何物でもない。実際、自分も「６月３０日って何かあった？」と思っていたくらいだ。しかも、この本が出たときにはコロナ禍だったので、「こんな時期に集まったら、密じゃん」と頓珍漢なことも考えていた。この本は、エンジェル投資家で京都大客員准教授の瀧本哲史さんの東大講義を収録したもの。この講義は２０１２年６月３０日に参加資格２９歳以下で東大・伊藤謝恩ホールで行われた。
彼は、「本を読んで終わり、人の話を聞いて終わりではなく、行動せよ」「正しい選択をし続ければいつか必ず世界は変わる」などと講義で述べるのだけれど、タイトルのネタバレをしてしまえば、講義の終盤に瀧本さんは、ほぼ学生と思われる聴衆に呼びかけるわけです。「みなさん自身が今いる場所で、ちょっとだけでも変えられることがあるんじゃないかと」などと。で、それができているかどうか、８年後に宿題の答え合わせをするために集まってみようと。しかし、瀧本さんはその前年に亡くなった。４７歳だった。
彼は「僕は君たちに武器を配りたい」という一見物騒なタイトルの本も出しているが、要は、すごいリーダーの出現を待つよりも世の中に変えそうな人をたくさん作るほうが可能性が高いのではないかということだ。そのために「武器としての教養」を主に次世代に配ると。本自体は、講義そのものなので非常に読みやすい。参加資格がないのにこのような形で本にしてもらってありがたい。老齢ながら刺激を受けた。
「読書は格闘技」を読んだときにも思ったのだが、彼についてはよく知らないが、言葉はややきつめだが、非常に温かみを感じる。
