晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

2017-01-01から1年間の記事一覧

他言語ではまるで違うタイトルの小説

ある国の作品がその他の国で翻訳されるというのはよくあること。それが原題や内容を踏まえながらも、当該国にあわせたタイトルがつけられることも、またよくあることだ。米出版社Simon & SchusterのFacebookに「10 Famous Books That Have VERY Different Ti…

「傷だらけのカミーユ」

ピエール・ルメートル「傷だらけのカミーユ」を読了。これで、カミーユ・ヴェルーヴェン警部を主人公とした三部作はすべて読んだことになった。巻末の池上冬樹氏の解説によると、長編はこの3作だが、中編が残っているらしい。池上氏が言うように、これだけ…

湘南国際マラソン2017

二度目の湘南国際マラソン。橫浜マラソンに落選し、二次募集でなんとか出走できる運びとなった。好天に恵まれた大会ではあったが、走り終えて感じたことは月並みながら、「練習はウソをつかない」。かなり教訓めいた意味で実感させられた。 昨年は腰痛のため…

IN★POCKET 2017年11月号 文庫翻訳ミステリーベスト10

昨年の「文庫翻訳ミステリーベスト10」をきっかけに、定期購読にした「IN★POCKET」。書店から11月号が届き、早くも一年経ったことに気づく。今年は読者として投票するつもりだったが、翻訳もののミステリーは結局読まないままに終わった。アガサ・クリスティ…

たらば通信9号

鎌倉にある書店、たらば書店が出す「たらば通信」。9号が出ていたので、いただいてきた。外に出ると、近くの「腸詰屋」が開いていた。後ろめたい気持ちがあったが、午前中からビールを飲みながら、読ませていただく。「腸詰屋」にも外国人向けなのか、Japan…

「アマニタ・パンセリナ」

終活の一環で棚の本を読んで処分するシリーズ(?)。今回は、中島らも「アマニタ・パンセリナ」を読んだ。エンタメノンフといっても十分通用しそうな内容だ。過去に自分がはまったドラッグとの「つきあい」を、ドラッグ別に項目をたてて体験談を語るのだ(一…

橫浜マラソン2017中止に思うこと

先月28日。つまり「橫浜マラソン2017」の前日。桜木町でビールを飲んでいたら、5時頃合流してきた知人に「橫浜マラソンは中止だって」と、駅をすぐ出たところにプラカードを持っている人が立っていたという話を聞いた。「(抽選から)落ちてて良かったじゃん…

「ジェームス・ジョイスを読んだ猫」

年齢的にはまだ早いのだが、読書に関しては「終活」モードに突入することにした。余命30年ほどあるとしても、このままでは年に100冊ほどのペースでは積読を読み切れない。新刊を読むことだってあるだろうし、再読することもあるだろう。しかし、意識的…

たらば通信8号

鎌倉の「たらば書房」に行って、購入がてら「たらば通信」をいただいて帰るのがひとつの楽しみだが、ここ3カ月で鎌倉に行けたのは1度だけ。ブログの更新も滞りがち。で、先月に行っていただいた、たらば通信8号について書く。実は、8号は7月に出されて…

「われ敗れたり コンピュータ棋戦のすべてを語る」

プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの戦いである「電王戦」。すでに引退はしていたものの第1回のコンピュータとの対戦者は著者の米長邦夫・日本将棋連盟会長だった。その後の団体戦でも2-1でコンピュータ側の勝利となり、将棋ソフトがプロ棋士を負かすこと…

「バッタを倒しにアフリカへ」

見事な「エンタメノンフ」と言って差し支えなさそうな、前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」を読了。バッタ被害の現状、いわゆるポスドク(博士研究員)問題、モーリタニアの文化や情勢などを新書一冊に収めた好著と言える。最初は、ブログ文体み…

「語学で身を立てる」

ひょんなことから猪浦道夫という存在を知った。とある英語学習のセミナーがあり、猪浦氏とは無関係だったが、主催側が猪浦氏の著作も出版していて、それらがセミナー講師の著作とともに並んでいたのだ。「英語冠詞大講座」という本で、冠詞だけで350ページの…

「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」

「鳥」「スパルタカス」「ベン・ハー」「十戒」「ウエスト・サイド物語」「卒業」「ローズマリーの赤ちゃん」「ロッキー」「エクソシスト」「カッコーの巣の上で」……。この作品群に関わっている夫婦は? ついでにもうちょっと作品名をあげていこう。「レイン…

「オレがマリオ」

今年は「サラダ記念日」刊行30周年だそうだ。そういえば、文藝別冊でも俵万智が特集というか、取り上げられていた。そのタイミングを狙ったかどうかはわからないが、文春文庫で、第5歌集「オレがマリオ」が出た。ちなみに第1歌集「サラダ記念日」から、「…

Garmin Connect 150k ステップチャレンジ

この世界にガ―ミンのGPS機器、特に腕時計タイプのランニングウォッチをつけている人は何人いるのだろうか?その中で、Garmin Connect のステップチャレンジに「参戦」している人は何人いるのだろうか。ふと、そんなことを思ってしまう。 2年前にEPSONか…

「ありがとう、トニ・エルドマン」

父親というものは、とかく娘のこととなるとくどくなったり、力が入りすぎたりすることがある。家庭や父娘(おやこ)関係によってもさまざまだろうが、この「ありがとう、トニ・エルドマン」に登場する父親のコミットの具合が尋常ではない。それでこそ、映画…

「青い鳥文庫ができるまで」

夏休みに子どもが借りてきた本を読ませてもらった。出版物のできあがるまでの過程に興味があるし、子どもと共有できる本があるのも悪くはないだろうと手に取った。まだ読んでいる途中らしく、しおりを動かせないのが面倒だったが、ほぼ小学生向けの本と思わ…

「岩波文庫創刊90年記念 図書 私の三冊」

自分の勤務地の最寄り駅は新橋。かつては駅の近くに文教堂があったが、いまでは小さい「リブロ」が駅地下にある程度。汐留までいけばもうちょっと選択肢が広がるものの、お隣の浜松町、有楽町と比べると物足りない。小さい書店に置いていない本は帰り道に川…

「イイネ!イイネ!イイネ!」

週末、ジャック・アンド・ベティでレイトショーを見た。クレイジーケンバンドの横山剣主演の「イイネ!イイネ!イイネ!」。この映画を見るのに、これ以上ふさわしいところはない、と勝手に決めつけてチケットを買う。本牧や伊勢佐木町をぶらつく人間の一人…

桜木町 「一ノ蔵」

存在は知りつつも、なかなか暖簾をくぐれずにいた店があった。JR桜木町駅から野毛に向かう地下道から、「にぎわい座」方面に出たところにある居酒屋「一ノ蔵」。一人で動くことが多いせいか、なんとなく「団体様」仕様の店に見えて入りづらかったのだが、…

「セールスマン」

2017年の米アカデミー賞で外国語映画賞を受賞し、昨年のカンヌでも脚本賞と男優賞を取っていた、イラン映画「セールスマン」を見た。監督はアスガー・ファルハディ。トランプ政権の入国制限令に抗議して、監督と主演女優のタラネ・アリドゥスティがアカデミ…

「快楽としてのミステリー」

少し前に「別れの挨拶」を読んだ後、「袖のボタン」「快楽としてのミステリー」(以下「ミステリー」)と続けて読み、「ミステリー」の読了後も、劇作家・山崎正和との対談「日本史を読む」を手に取り始めて、個人的な「丸谷才一ウィーク」「丸谷才一月間」と…

文楽「菅原伝授手習鑑」 六代豊竹呂太夫襲名披露

文楽「菅原伝授手習鑑」を見に国立劇場へ。初日はまだ粗いので避けるか、通の方は初日、中日、千秋楽と出し物がなじむのを楽しむらしいが、あいにくそんな金銭的、時間的余裕はない。初日のチケットがとれたのでそれで良しとする。襲名披露口上を最初に見れ…

「人生タクシー」

遅ればせながらジャファル・パナヒ監督「人生タクシー」を見た。パナヒ監督がアッバス・キアロスタミ監督の助監督であったことと、イラン映画は久しぶりとの理由がメインで、ベルリンでの金熊賞受賞は付録みたいものだったが、なるほど受賞も納得という作品…

たらば通信7号 葛原岡・大仏ハイキングコース

天気が良い休日に午前中から昼過ぎにかけて時間がとれたので、迷わず北鎌倉に向かった。春を感じるために、鎌倉を歩こうと決めていたのだ。ルートはベタだが、北鎌倉~葛原岡~大仏のハイキングコース。このコースを通して歩くのは4年ぶりか。北鎌倉から鎌…

「盤上のアルファ」

塩田武士という作家の存在を電車内の広告で知った。のちに本屋大賞で3位に選ばれた「罪の声」の広告で、この本は「グリコ森永事件」をモデルにしているとのこと、おおいに興味が湧いたが、昨今の金銭事情では初めての作家を単行本を買う気持ちになれない。と…

フォアフット着地 1ヵ月 

田中宏暁「ランニングする前に読む本」を読んで、フォアフット着地に切り替えてから、1ヵ月以上過ぎた。この間、長短あわせて20回以上のランニングを、これで走ってきた。ただ、まだ20㌔級の距離は踏んでいないので、長い距離の「効果」はわからない。 …

「考える人」休刊、「『考える人』は本を読む」

新潮社の季刊誌「考える人」が休刊となった。定期購読誌の側から「別れ」を告げられたのは初めてではないが、あふれてくるネットからの情報や失速している新聞から離れ、一服できる媒体だっただけに残念至極である。昨年春の値下げを伴うリニューアルは危機…

「徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男」

「オシムの言葉」やJリーグ関連でも秀逸な著作がある木村元彦(ゆきひこ)氏の「徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男」を読んだ。今西が育成したサッカー人脈は、森保一、高木琢也などがクラブの監督、もしくはフロントなどとして、Jリーグを支えて…

「八月の六日間」

鎌倉の書店「たらば書房」が発行する「たらば通信」で紹介された本を手に取ってみた。北村薫「八月の六日間」。直木賞作家であり、何かと目にする名前でもあるが、向き合うのは初めてだ。雑誌の副編集長である女性(のちに編集長)が日々の煩わしさから回避…