晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「空にみずうみ」

静かな小説だった。日々の雑記と言ってもだろう。東日本大震災から4年経った、ある夫婦の一年。東北のある地方の歳時記のようでもある。鳥の声や紛れ込んでくる昆虫、植物、畳替えなどの一年を綴っている。見逃しているかもしれないが「震災」という言葉も…

「古本食堂」

食べもの系に弱い自分にとって、原田ひ香さんは気になる存在だった。とはいえ、著書が多くどこから手をつけて良いか分からない。古本と抱き合わせなら面白いに違いないと、本書を手に取った。タイトルから、食堂併設の古本屋の話だと思ったのだが……。 古本食…

「「国境なき医師団」を見に行く」

「国境なき医師団」。1971年にフランスで発足した、医療援助団体。「国境なき~」(without borders)という惹句は何かと使い回されたりするが、やはり「医師団」がカチッとはまる。正式名称は当然フランス語で、Medecins Sans Frontieres で MFSと略され…

「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」

今年はミュージシャンの訃報が相次いだ。自分も歳を取ってきているので、若い時に親しんだ音楽家たちが、それ相応の年齢になってきているのはわかるが、「早い」「早すぎる」と感じさせる人が多かった。若いときに無茶していたのだろうか。 個人的には、坂本…

巣鴨湯

週に一、二度は銭湯に行く。家の風呂では味わえないような開放感といつまでも適温で保たれている湯が魅力なのだが、減少していく銭湯を応援したいと気持ちもどこかにある。巣鴨で酒席があり、時間的な余裕があったので、飲む前にひとっ風呂と、タオルもなし…

「橙書店にて」

週末には長い距離を走るぞと意気込みながら、当の週末にそんな気持ちが萎えている。いつものように早起きはしているのだが、WOWOWで映画を見てしまってもういい時間だ。ちょっと前に買った本でも読もうかと、読み出したら面白かった。 熊本の喫茶兼雑貨店と…

「翼 李箱作品集」

光文社古典新訳文庫から李箱(イ・サン)の作品集が刊行された。同文庫から韓国文学で出るのは初めて。近年、フェミニズムものを中心に韓国文学が多くの出版社から刊行されているが、やっと「大物が文庫になった」という感じだ。 韓国では、彼の名を冠した文…