晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「不完全な司書」

 奈良県東吉野村で私設図書館「人文系私立図書館 Lucha Libro」を営んでいる青木海青子さんのエッセイ。奈良や和歌山に行ったことはないが、自分の故郷の東北と一緒で田舎であるけれども、イメージとしてはもっと緑が深く、神秘的な場所のような気がしている。遠い場所というところからそう感じているだけかもしれないが。本の写真と、公式サイトやフェイスブックをのぞかせてもらった限りでは相当な山の中にあることは明らかだ。

 図書館はビジネスではない。私蔵図書や書斎の無料公開といったところだが、読む場所も提供してくれる。サイトを見る限り、オープンしているのは月の3分の1くらいか。一度も行ったことはないが、機会があれば立ち寄って本とともに時間を過ごしてみたい。しかし、「ルチャ・リブロ」って、メキシコのプロレス「ルチャ・リブレ」のもじりだろうか。それとも「戦う本」か。

 さて、著者の青木海青子さんはこの図書館で司書を務める。ちなみに名前は「みあこ」と読む。大学職員として、司書として働いた経験がある。その後、神戸での勤務などを経て、心身の不調などもあり、東吉野に移住したとのことだ。自身も精神障害を抱えていながら、利用者の対応をする「不完全な司書」と書いている。

 来訪者よりはもっと本に向き合ったエッセイと思う。筆者は、本は「窓」のようだと書いている。扉ではなく、今いる部屋とのぞいた先の部屋との違いを感じられることができる窓だと。小さいときからその窓にへばりついていたそうだ。

 「生きるためのファンタジーの会」という催しもやっているという。私自身は小さい頃に児童文学にあまり触れてこなかったのが(いまさら言っても始まらないのだが)、読書人生において大きな失敗だと思っている。それを感じたのが、遅まきながら子どもができてから。筆者はそこらをしっかり埋めているような気がしてうらやましい。

 本にも書いてあったが、サイトをのぞいてみると、いろいろな形で発信している。おすすめのファンタジーもそうだが、やや長めの回もあるがポットキャストでも聞いてみようか。ほぼ一気読み。