晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「読書アンケート 2023 識者が選んだ、この一年の本」 

 「月刊みすず」が休刊となり、1ー2月号掲載が常だった読書アンケートが単体で売られることになった。「月刊みすず」としては1部300円(+税)が、単体で800円(同)。単純比較ではえらい値上げだが、それだけの価値はあるような気がしている。冊子としてのつくりがしっかりしているような。今回も楽しませてもらった。

 毎回書いているが、2023年に読んだ本の中から選んでいるのであって、2023年刊行の本ではない。既刊の本も含んでいる。

 厳密に数えているわけではないが、複数の人が選んでいて印象に残った本をあげる。小説では、芥川賞を取った市川沙央「ハンチバック」が多かった。わざわざ「他の人も選んでいるだろうが」と加えている人も2人くらいいたような。人工呼吸器と電動車いすを利用する自身をモデルにした小説。近年、文学賞受賞作は文庫化を待つことにしているので、いずれ読んで衝撃を受けることになるだろう。

 エッセイでは、斎藤真理子「本の栞にぶらさがる」。購入済みだが、未読。韓国文学の翻訳家としては信頼度の高い人だが、書くものも面白い。最初は、「チボー家の人々」だったと思うが、取り上げる本は韓国にとどまらない。急いで読まないと。

 大著で、翻訳が出たのは昨年の後半なのに読んでいる人が少なからずいたのが、デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ「万物の黎明 人類史を根本からくつがえす」。もちろん読んでいないのだが、西欧中心の人類史や、ユヴァル・ノア・ハラリあたりの最近の人に加え、ホッブズあたりの昔の人にも「もの申す」ような内容になっているらしい。ちょっと高いが読んでみたい気がする。中古待ちか。

 新書では、三牧聖子「Z世代のアメリカ」と今井むつみ・秋田喜美「言葉の本質」が多かった。これまた、後者は購入済みだがまだ手をつけていない。今井さんの本は他にも積読が複数ある。

 このアンケートを読んですぐに買ってしまったのは、朝井まかて「類」。選んだのは一人だけだったと思うが、森鷗外の息子さんの話となれば、読むしかない。これだけでも収穫があったと思った。