晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「私が選ぶ国書刊行会の3冊」

 紀伊国屋書店の横浜店(そごう7階)に行ったら、国書刊行会の50周年フェアをやっていた。扱っている書籍にクラシックな匂いがするものが多いので、もっと歴史のある出版社かと思っていた。僕より若いのだな。

無料の小冊子。読書アンケートってつい読んでしまう

 国書刊行会と言われてもピンとこないひともいるかもしれない。この無料の小冊子のカバーが扱っているジャンルを示していると思う。頭に浮かぶのを順に書いてみると、ゴシック、澁澤龍彦山尾悠子ボルヘス、幻想……などなど。そして、シリーズ物が多い。

 この小冊子は、作家や学者や研究家などが国書刊行会から出た本を3冊挙げることになっているのだが、掟破りと言うべきか、シリーズや全集単位で選んでいる人が多い。しかし、私の印象もこの出版社のイメージはシリーズものである。ただ、完結までに時間がかかるものも多く、数年かかった末に、自分も、頼んでおいた書店も、忘れてしまったケースがあった。書店の方は運営先が代わったという事情もあるのだが。

 その全集・シリーズをいくつか挙げてみる。「現代語訳 最澄全集」「書物の王国」「世界幻想文学大系」「世界探偵小説全集」「魔女たちの世紀」……。いやいや、このような本が書棚に入っていると豊かな気持ちになるだろうなと思いつつ、やはり値が張る。独身の時はよく買っていたのだけれど、ここ20年ばかりはあまり買っていない。

 意外と思ったのが、「ウッドハウス・コレクション」を出していたこと。てっきり文春あたりが版権を持っていると思っていたが、国書刊行会が出していたのか。P・G・ウッドハウスの「ジーヴス」シリーズは、いまや上皇后となった美智子さまがよく読んでいた(今も読んでいる?)、執事と主人のコメディもの。美智子さまはたぶん原書で読んでいたのでは。

 値が張ると書いた国書刊行会の本だが、積読しているとわかるのは本のつくりが実にしっかりしていること。手元に、「書物の王国」の「月」があるが、素人目には新品同様。これも大事な要素であろう。

 最後の「私の3冊」もあげておこう。フィリップ・アレナス「夜になるまえに」、マヌエル・プイグ「天使の恥部」、「日本幻想文学集成 石川淳」。全部、前の世紀に読んだものばかり。