角川春樹事務所から刊行された「にほんの詩集」シリーズ。シンガーソングライターで知られる中島みゆきを加えたのは目新しいが、それは置いといて、日本の著名な詩人12人の詩集を出している。その中で、一度も読んだことがなかったのが、工藤直子さん。童話など児童向けに書いてきた人だそうだが、まど・みちおさんも読んだし、ちょっと手を付けてみようかと軽い気持ちで読んだ。鎌倉の書店に置いてあった。
好きだな、この人の詩、というのが、率直な印象だ。
子ども向けとは言え、なんかスケールが大きい気がするのだ。枠を取っ払っているような解放感があると言おうか。でも、十分にリズミカル。リズムと内容のバランスがいい。
この本の巻末にはゆかりがあった人たちによる座談会が収録されていて、工藤さんの詩に曲をつけていた音楽家は、朗読だけで十分にリズミカルで曲をつける必要がないと話している。簡単な言葉で奥深いことを話しているとも。
この詩集は、いわば出版社が選んだベスト盤。好きな詩があると、そもそもその詩が収録されていた詩集を読みたくなる。たとえが、いかにも昭和な人間だが、ビリー・ジョエルの「オネスティ」が気に入ったら、その曲が入っていた「ニューヨーク52番街」というアルバムが気になると言った感覚に近い。
というわけで、「てつがくのライオン」を個別に読みたくなった。佐野洋子さんが絵を描いている版は入手が難しそうなので、長新太さんが描いたバージョンにした。子ども向けなんだろうけど、大人の足を止めさせるような魅力があると感じている。