晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「英語日記 BOY」

 英語の参考書ではない、英語関連本が売れているらしい。近年で言うと、清水建二先生の「語源図鑑」がやたら売れているが、あれは別格。英語学習書というのは、いろんなところから出版されていて、小さい出版社だと書店の棚に入れてもらうのも一苦労だそうだ。この「英語日記 BOY」はいわば英語学習法というか、独習のやり方をつづった本。出版社は左右社。個人的には、片岡義男さんなどによる「翻訳問答」で馴染みがあるが、あまり知られていない出版社だろう。それでもこの本は現時点で5万部ほど刷られているらしい。

英語日記BOY

英語日記BOY

 

  オリエンタルラジオ中田敦彦さんが、自身のYouTube番組で取り上げたことも理由かもしれないが、この押しつけがましくない、説教臭くない、一見フォトエッセイのような本が5万部も売れるのは、発行元だって予想外だったのではないか。

 確かに独習という点では、新型コロナウイルスの影響で学校や英会話学校に通うことができなかった時期があったために、家でも学べるという点で着目されるような要素はあったように思われる。しかもスマホやアプリを使った学習法もある。スマホ音声認識機能を使った発音学習法は、確かに思いつかなかったし、日本の英会話学校に比べると安価なフィリピン発のオンライン英会話の講師に、自分が日本語から英語に訳した「言いたいフレーズ」を添削してもらうというアイディアはなかった。単に学ぶだけではなく、自分がやりたいことを持ち込んでいくという発想は、少なくとも自分にはなかった。お金払っているんだし、そのくらいの意欲があってもいい。

 ちなみに、なぜ「日記」かと言うと。著者の新井リオさんは、英語で話せるということを「自分が言いたい英語が連続して出てくる状態」と定義して、会話って自分が主語で話すことが大半。それってほぼ日記じゃない?ってことで日記をつけることにしたとのこと。自分が言いたいことや、自分は言いたくなるようなことをイメージして、それを英訳して添削してもらって、蓄積していく。これはなかなかしっかりした勉強法である。

 想像だが、新井さんはネイティブのようなペラペラではない。でも、メールやスカイプで仕事の話をする程度ならOKな状態だと思う。相手だってネイティブでない場合が多いだろう。実際、米中韓あたりの人たちと仕事して生計を立てているそうだ。

 読んで思ったのは、新井さんはしっかり時間をかけて勉強をしているということ。本にも、自分が日本語を習得した過程を考えれば、聞いているだけで話せるとか、3カ月でペラペラなんてことはほぼないというようなことを書いてある。スマホなりアプリなりの目新しさはあるが、勉強法としては王道なやり方だと思う。ネット環境を利用して身の回りのものを使った学習法には関心しつつ。